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ゴリラのためのさまざまなくふう
 └─上野  2011/12/23

 上野動物園では、ゴリラたちが外に出ているのは7時間ほど。それ以外の時間は、室内で過ごしています。ただ餌を与えて、じょうぶな建物があればいいというわけではありません。

 床や台座にはたくさんのワラを敷き、天井や格子に竹や枝葉を差し込み森の中にいるようなくふうをしています。樹上に枝葉でベッドを作るゴリラたちの快適な眠りを守るくふうです。

 室内にはたくさんのロープやリサイクルの消防ホースを張り巡らせ、編みこんでハンモックを設置して、空間をうまく使えるようにしてあります。

 睡眠だけでなく、健康のためにもう一つ大事なのは食事です。たくさんの野菜や枝葉が彼らの主食です。麻袋やワラの中に野菜を隠したり、ポリタンクにペレットを入れておきます。いじわるに聞こえるかもしれませんが、与えられた餌を食べるだけでは満足感も少なく、短時間で食べ終わってしまいます。餌を求めて動き回る野生のゴリラのようによく動き、隠した餌を見つける喜びを与えることも大切なくふうです。

 あまり好んで食べたがらない野菜には、ハチミツやミソで少し味付けしたり、ピーマンに注射器でヨーグルトを入れてみたり、日によってアレンジを加えています。冬の時期には、トマトなどの大好きな野菜にオリーブオイルをつけておき、ゴリラが手に取ったときにスキンケアになるよう気を配っています。コドモのコモモには、朝外に出る前にも手足にオイルやワセリンを塗っています。

 よく眠りよく食べて、心身ともに健康なゴリラとしてくらせるよう、いろいろなくふうをしていきたいと思います。

写真上:室内で過ごしているときのハオコ
写真中:モモコ
写真下:コモモ

〔上野動物園東園飼育展示係 木岡真一〕

(2011年12月23日)



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