ニュース
「水辺の自然」に冬の訪れ
 └─葛西  2011/12/02

 葛西臨海水族園の「水辺の自然」エリアは、昭和30年代の東京近郊で見られた昔懐かしい景観の再現を目指し、日々管理しています。ここには人工の河川があり、その周りでは、さまざまな植物が見られます。
 春はフキやフクジュソウ、夏はヤマユリやミソハギ、秋はヒガンバナなど、水族園で四季を感じることのできる場所の一つです。

 現在、「水辺の自然」エリアを歩いていると、あちらこちらで、垂直に伸びた茎の先に黄色の花が咲いている植物が目に入ってきます。「ツワブキ」です。花期は10〜12月で、冬が近付くと花が咲き始めるため、初冬の季語にもなっています。海岸や海辺の山などで見られる植物で、葛西臨海公園でも普通に見られます。「水辺の自然」への冬の訪れを知らせてくれる植物です。

 茎が極端に短いので、葉は根から直接生えているように見えます。葉と葉のあいだから、高さ30〜70センチメートルの太い花茎を伸ばし、5センチメートルほどの黄色い花をつけます。葉はフキに似た形をしていますが、深緑色で表面につや(光沢)があるので違いが分かります。このことから、「ツヤブキ」転じて「ツワブキ」になったといわれています。

 ツワブキは、花や葉が美しいので観賞用として庭などにもよく植えられます。また、若い葉柄はフキと同じように、つくだ煮(きゃらぶき)などの食用として利用されるほか、茎や葉は切り傷や湿疹、打撲などの外用薬として使われたり、根は胃腸薬などにもなったり、わたしたちにとってなじみの深い植物のようです。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 戸村奈実子〕

(2011年12月02日) 



ページトップへ