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ニセクロスジギンポの擬態──葛西 8/30

 「掃除魚」と呼ばれている魚を知っていますか? ハタなど大型魚の口内でせっせと何かをつついている小さな魚です。これはホンソメワケベラという魚です。他の魚の体表についた寄生虫や傷ついた組織を食べるので、自分が食べられてしまう心配はありません。

 そのホンソメワケベラ(以下ホンソメ)によく似ているのがニセクロスジギンポ(以下ニセクロ)。「モーリシャス」の水槽には2種がいっしょに展示されています。

 ニセクロは掃除魚ではありませんが、ホンソメに似ているおかげで掃除魚と勘違いされ、食べられてしまう確率がずっと低くなります。ホンソメは体の色や模様、そして尾びれを上下に降って泳ぐダンスで掃除魚であることをアピールしています。ニセクロはホンソメに外見を似せるだけでなく、そのダンスまでまねるのです!

 擬態で捕食からのがれるとは、なかなかかしこい生き方ですが、さらなる悪評(?)がニセクロにはあります。だまされて掃除を要求しにきた魚のひれをかじって食べてしまうというのです。ところが、このニセクロのずるい「ひれ食い」は、その後の研究で「ぬれぎぬ」かもしれない、ということがわかってきました(研究の詳細については、メールマガジンZooExpressのNo.75 をどうぞ)。

写真上:ニセクロスジギンポ
写真下:ホンソメワケベラ

〔葛西臨海水族園調査係 天野未知〕





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