ケープペンギンの「ハチ」(メス)が上野動物園にやってきたのは、ジャイアントパンダ初来日の翌年、1973年12月2日です。つまり、37年もの長い間動物園で生活していたことになります。じつはこの飼育期間は、世界最長の飼育記録になります(世界の飼育動物の長期飼育記録を調べているフランクフルト動物園のR.Weigl氏に確認を取りました)。野生由来の個体であるために、正確な年齢はわかりませんが、2007年には推定39歳の長寿動物として動物園で表彰されました。
2007年までは群れの中で生活していましたが、ほかのペンギンたちから攻撃を受けるようになり、別にして非公開の裏側で飼育を続けていました。
両目が見えなかったり、換羽のサイクルがみだれたりと、年齢からくる衰えは見受けられますが、全体としてはいたって健康に過ごしていました。
しかし昨年(2010年)末から餌を自力で飲み込むことが困難になり、体調に変化が出てきました。流動食を与えるなどの手をつくしていましたが、2011年7月9日の夕方に死亡しました。
「長年がんばって生きてくれてありがとう」という思いでいっぱいです。
写真:元気だったころのハチ
〔上野動物園西園飼育展示係 齋藤圭史〕
(2011年07月29日)
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