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西なぎさではあまり見られない白い甲
 └─葛西  2011/07/29

 葛西臨海水族園調査係では月に1回程度、葛西臨海公園周辺で見られる生物などの調査をしています。2011年7月15日(金)には、水族園の前に広がる人工の干潟「西なぎさ」で調査をしました。

 海岸を歩いていると、これまではあまり見られなかった白い楕円形のものが目につきました。これはコウイカの甲です。西なぎさの海岸に打ち上げられており、コウイカそのものの死骸もありました。今回、西なぎさで多くの甲が見つかったのは、調査当日までの風や潮の流れが原因だと考えられます。

 コウイカは砂泥質の海底でくらすイカで、体内に大きな甲をもっています。この甲はたくさんの小さな空気の部屋でできていて、水中での浮力をコントロールしているといわれており、弱ったり死んだりすると、コントロールができなくて水面に浮かんできます。コウイカの寿命はおよそ1年で、産卵後その生涯を終えます。

 コウイカの産卵シーズンは春から初夏にかけての季節です。海藻の根元などに直径1.5~2.0センチメートルの卵を産みつけ、砂をまぶしてカモフラージュします。西なぎさの海岸に打ち上げられたコウイカたちは、産卵期を終えたイカたちだったのでしょうか。

 水族園で展示していたコウイカの展示はすでに産卵期を終えて死んでしまったため、アオリイカに代わっていますが、孵化したコウイカたちは順調に育っています。現在は「東京の海」エリアの実験展示コーナーでコウイカの子どもたちを見ることができます。
 西なぎさでは季節によって見られる生物が変わります。これからも目の前の干潟でどんな生物が見られるか、継続して調査をおこないたいと思います。

・関連ニュース「砂をまぶしたコウイカの卵」

写真上:海岸に打ち上がったコウイカの甲
写真下:水族園で生まれたコウイカ

〔葛西臨海水族園調査係 小味亮介〕

(2011年07月29日)



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