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コアラ館がにぎやかに!
 └─多摩  2011/07/01

 多摩動物公園のコアラ館では、2010年9月に15歳のオス「コウ」が老衰で死亡し、翌月にはメスの「ミリー」が繁殖を目指して横浜市金沢動物園へ旅立ったため、コアラが2頭しかいなくなってしまいました。

 コアラ館の展示場は区画が3つありますが、空の区画ができたのは1986年にコアラの飼育を始めて以来、初めてのことでしょう。
 「準備中」のラベルが貼られた寂しい状態が続いていたのですが、2011年4月27日に埼玉県こども動物自然公園から4歳のオス「マックス」が来園し、5月18日には神戸市王子動物園より7歳のオス「ピックス」が来園しました。メスが2頭しかいなかったので、食欲旺盛で活発なオスが2頭も来てくれたのは頼もしい限りです。

 さらに金沢動物園へ行っていたミリーが急遽帰ってくることになりました。金沢動物園でペアリングの予定だったオスのパインが急に体調を崩し、残念なことに死亡してしまったためです。コアラは細菌感染や病気に弱く、急激に体調を崩して死亡してしまうことが珍しくありません。パインは金沢動物園で何度も繁殖に成功しているオスだっただけに残念でなりません。

 しかし嘆いている暇はありません。メスのミリーは8月で11歳になります。コアラの11歳は高齢といってもいい年齢で、繁殖できるかどうか微妙な年齢です。続けて出産していれば受胎もしやすいのですが、時期を空けてしまうと受胎しにくくなります。
 6月22日、車を走らせ、ミリーを引き取りに行きました。ミリーは以前よりも臆病になった印象で、金沢の飼育担当者の話では3月11日の地震以来、物音や振動に過敏になってしまったそうです。多摩動物公園に帰ってきても、しばらくは耳をピンと立てて警戒していましたが、慣れ親しんだ場所なので少しずつ落ち着きを取り戻しリラックスした動きも見られるようになりました。頭数が増えたため18歳のメス「アヤ」と同居していますが、どちらかというとアヤおばあさんの方がなんとなく居心地悪そうにしています。

 2頭から5頭に急に賑やかになった多摩動物公園のコアラ館ですが、日本全体では個体数が50頭を切ってしまい、減少傾向に歯止めがかかりません。オスのコアラが来園したので、現在積極的に繁殖に取り組んでいます。ミリーの子である2歳の「ミライ」とピックスのペアリングがうまくいったので、早ければ今年の冬には嬉しい報告ができるかもしれません。

◎コアラ移動に関するニュース
コアラ「ミリー」、横浜へ
コアラ「ピックス」神戸から多摩へ

写真上から:アヤ、ピックス、マックス、ミリー、ミライ

〔多摩動物公園南園飼育展示係 熊谷岳〕

(2011年07月01日)



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