ニュース
カモシカの削蹄をしました
 └─大島  2011/06/24

 みなさんは「爪」という言葉を聞くと、どんな種類の爪を思い浮かべるでしょうか? 真っ先に浮かぶのは私たち人間の手足の指の爪でしょう。これは扁爪(平爪)と呼ばれる爪で、霊長類に見られます。ほかにも鳥類や爬虫類に見られる鉤(かぎ)のような形をした鉤爪。そして馬や牛の四肢の先端にある蹄(ひづめ)も爪の一種です。

 カモシカは偶蹄目というなかまに分類され、蹄をもっている動物です。蹄は人間の扁爪のように毎日少しずつ伸びていきます。人間は爪が伸びたら爪切りで切って手入れをしますが、野生のカモシカの場合は、野外を歩き回ることで蹄が自然に摩耗してちょうどいい形を維持しています。

 大島公園動物園で飼育しているカモシカの展示場は一部に、スコリアと呼ばれる火山礫からできた粒の粗い砂を敷いて、蹄が磨耗するようにくふうしているのですが、それでも伸びるほうが速くなってしまいます。蹄が伸びすぎると歩き方のバランスが悪くなり、蹄の形が変形したり割れたりして、そこから病原菌が侵入する原因につながるため、定期的に蹄を削っています。

 2011年6月9日には、カモシカの蹄を削りました。削蹄した直後のカモシカは、すっきりしたつま先に違和感があるのか、しばらくよたよたした歩き方をしていましたが、次第に慣れるはずです。

写真上:カモシカとスコリアを敷いた展示場
写真中:削蹄の作業風景
写真下:蹄を削っているところ

〔大島公園動物園 大賀幹夫〕

(2011年06月24日)



ページトップへ