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ロックサッカーの産卵
 └─葛西  2011/06/10

 葛西臨海水族園「世界の海」エリアの「南アフリカ沿岸」水槽で、ロックサッカーが水族園で初めて産卵しました。
 ロックサッカーはウバウオ科に属しています。ウバウオ科は世界に140種ほどが知られていますが、多くがしおだまりや浅い海に生息していて、体長数センチほどの小型の種がほとんどです。しかしロックサッカーは、最大約30センチにまで成長し、ウバウオ科としては大型の魚です。
 自然の海での産卵は、通常オスが岩の裏などにメスを導きいれ、岩の表面に500個ほどの小さな卵を産み付けます。

 開園中の午後、壁面の真ん中あたり、よく見える場所に産卵しました。黄色っぽいメスが、黒くて一回り大きなオスに見守られながら産卵を続け、夜7時くらいまでにはきれいな楕円形に卵を産み付けました。時折ほかの魚が近づくと、オスが激しく追い払う行動も見られました。

 産卵が終わるとメスはその場を離れ、オスだけで卵を守り続けています。オスは最初、卵保護を完璧におこなっていましたが、徐々にサボりがちになり、ほかの魚に食べられて、卵はだんだん少なくなってきています。完全に保護することを放棄したわけでもなく、オスはまだ卵の近くで見守っています。初めての子育てということもあり、まだオスが慣れていないのかもしれません。自然の海での産卵は一年中おこなわれるようなので、今後のオスのがんばりに期待したいと思います。

 ロックサッカーは、ふだん水槽内の擬岩や壁に張り付いていて、じっとしていることが多く目立たない存在ですが、今、飼育担当から熱い注目を集めています。

写真:ロックサッカー産卵のようす(壁に卵が産み付けられている)

〔葛西臨海水族園飼育展示係 中村浩司〕

(2011年06月10日)



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