ニュース
真昼のアナグマ救出劇
 └─多摩  2011/04/15

 多摩動物公園の園内には、動物園で飼育されている以外にも、多くの野生動物が生息しています。哺乳類では、アカネズミ、イタチ、キュウシュウノウサギ、ホンドタヌキ、そしてアナグマです。

 そのアナグマが、先日、園内の側溝から出られなくなり、救出作戦が実施されました。
 発見されたのは、2011年4月11日午後2時頃。来園者の方が「トナカイ舎前の側溝にイタチかタヌキが入って出られなくなっている」と、近くを通りかかった飼育係に通報してくれました。さっそく、数名の飼育係が捕獲網と輸送箱をもって現場に向かいました。

 出られなくなっていたのは成獣のアナグマです。排水枡に落ち葉が流れ込まないよう、側溝には格子のふたがついているのですが、そのふたが一方向にしか開かないため、とじこめられてしまったようです。いつからそこに入っていたかわかりませんが、ちょっと元気がなさそうな気がします。

 捕獲網に追い込もうとしましたが、行きつ戻りつし、なかなか飛び込んでくれません。狭い側溝にうまく網を入れることが難しく、広くなっている排水枡まで追い込んで、ようやく網に入れることに成功。約20分の救出劇でした。体重は5.7キログラムでした。

 その後輸送箱に移し替え、閉園するまで静かな場所で休ませました。そして、午後4時30分、トナカイ舎裏の茂みで輸送箱の扉を開けたところ、振り返ることもなく、あっという間に茂みの中に逃げていきました。

 アナグマは、地中に複雑なかたちの穴を掘って生活します。側溝を利用して広範囲に移動するという報告もされています。今回もそんな移動の途中にうっかり閉じ込められてしまったのでしょう。「もうそんなところに入るんじゃないよ」と心の中で呼びかけながらの放獣でした。

写真上:側溝内のアナグマ
写真中:排水枡に追い込む
写真下:無事、捕獲網で確保

〔多摩動物公園南園飼育展示係 大橋直哉〕

(2011年04月15日)



ページトップへ