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長寿オランウータン「モリー」の日々
 └─多摩  2011/03/18

 1955年11月5日、ボルネオオランウータンの「モリー」が、インドネシア政府からの友好親善大使として、上野動物園に寄贈されました。推定年令3歳。戦後初めて来日したオランウータンでした。1956年からオスのタローとペアになり、合計4頭の子を出産しています。

 そして2005年、上野動物園から多摩動物公園に移動しました。

 ・東京ズーネットBBの動画
  「オランウータンのモリー、多摩へ」(2005年)

 そのモリーも2011年で推定59歳になります。現在飼育されているオランウータンの中では、世界一の長寿です。長寿記録を調べて見ると、アメリカの動物園で飼育されていた「ガオス」(オス、推定59歳)と「グリアナ」(メス、推定58歳)2頭の記録がありますが、いずれも死亡しました。

 最近のモリーは、天気のよい日は外で日光浴をし、気が向けば高いやぐらの一番上に登り、思いにふけるかのように遠くを見つめています。今までの自分を振り返ってでもいるのでしょうか。

 室内ではクレヨンで色紙に絵を描いたり、ダンボール箱の中に入ったり、Tシャツを着たりして日々を過ごしています。餌も、ほかのオランウータンと同じものを食べていて、固いニンジンやサツマイモなどは時間をかけゆっくり食べます。

 ・東京ズーネットBBの動画
  「多摩でも元気なオランウータンのモリー」(2006年)

 ときには便秘で一週間ほど排便がなくなるようなこともありますが、大病もせず、とても元気です。とくに季節の変わり目には注意していますが、昨年の猛暑でも夏バテ知らず、カゼもひかず、元気に過ごしました。

 そして毎日おこなうモリーとの会話。「モリーおはよう」と声をかけると、かぶっていた麻袋から顔を出し、片手でまぶたを持ち上げてこちらを見ながら「ウッーウッー」とこたえてくれます。夕方ヨーグルトとミルクを格子越しに与えながら「今日は、一日どうだった」と聞くと、モリー語で話してくれます。

 来園者の方や取材の方に「長寿の秘訣はなんですか」とよく聞かれるので、そのときは「好奇心旺盛でマイペース」と答えていますが、それ以上に、今までの多くの飼育担当者が、日々の健康管理に注意し、愛情をもって接してきたことが今日につながっているのではないかと私は思います。

 モリーがあと何年生きられるかわかりませんが、一日でも長く元気に過ごしてくれることを願っています。

〔多摩動物園南園飼育展示係 島原直樹〕

※3月17日(木)からの臨時休園については、
 こちらをごらんください

(2011年03月18日)



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