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ビンのふたを開けて餌を食べるミズダコ
 └─葛西  2011/03/11

(2011年7月22日追記──申しわけありませんが、現在、ミズダコは展示しておりません。)

 ダイバーに抱きついてくるミズダコの展示については、2011年1月14日のニュースでお知らせしました。

 その後もダイバーが水槽に入るたびに近寄ってきて抱きつこうとするため、ダイバーはアクリル清掃などに集中できませんでした。そこで、ダイバーが水槽に入る直前に、多めに餌を与えて食事に夢中にさせ、満腹になって落ち着かせる作戦をとっています。

 最初は、餌をおもりとともにひもにつけて沈めて、餌に抱きついたところをミズダコごと水面まで引きあげ、水面近くでカニや魚などを手渡しで与えていました。 ところが、1か月ほど経つと、吸盤で水底や壁に吸いついてしまい、水面まで引き上げることができなくなってしまいました。水面へ引っ張り上げられることが、どうも気に食わなかったようです。

 ミズダコには、私がいままで面倒みてきたさまざま生き物にはない、知性のようなものを感じます。たとえば給餌の反応でも、ふつうの生き物なら、餌がもらえると分かれば自分から水面まであがってくるようになるはずなのですが、なぜかまったく反対だったわけです。

 水面までミズダコを引き上げることはあきらめて、ザルに餌を入れて沈め、与える方法に変更しました。でも、山盛りの餌を次々に抱え込むと、ザルから離れてよく見えないところへ移動してしまいます。

 ミズダコがお客さんに見える時間を少しでも長くするため、またミズダコの暇つぶしのために、今度はスクリュー式のふたがついた透明なビンの中に餌を入れて与えてみました。

 じつは、マダコの展示では以前から同じような給餌方法をおこなっています。マダコの場合、飼育担当者がふたを開けたり閉めたりするところをマダコの目の前で見せ、裏でトレーニングを積んでから展示に出しています。

 ミズダコにはぶっつけ本番で試してみたのですが、抱きついてから1、2分でふたを開けてしまいました。ただし、スクリューを回して開けたわけではなく、力ずくでふたを開けて中の餌を食べてしまったのですから、大したものです。サルのなかま以外では、ふたを開けて餌を食べられる生き物はそういないでしょう。

 ミズダコは頭がいいので簡単に言うことを聞きそうにありませんが、逆に、おもしろい展示ができそうな気がします。なるべく来園者に見えるくふうをしつつ、ミズダコの知性や能力がわかってもらえるような展示を開発したいと思います。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 荒井寛〕

(2011年03月11日)



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