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ウリクラゲを展示しています
 └─葛西  2011/03/04

 2011年1月、葛西臨海水族園の目の前に広がる「西なぎさ」でウリクラゲが採集されました。今回、「実験展示」コーナーで展示を始めましたので、ご紹介します。

 ウリクラゲは、その名の通り「ウリ」(冬瓜)のような形をしています。体の表面には、キラキラと輝くひだのようなものが縦に8本走っています。これは、小さな板状の「櫛板」(しつばん、くしいた)がたくさん並んだもので、櫛板は繊毛という細かい毛が束になってできています。ウリクラゲはこの櫛板を、波打つように動かして泳ぎます。

 一般に「クラゲ」と呼ばれるなかまは、大きく有櫛(ゆうしつ)動物と刺胞(しほう)動物という二つのグループに分けられます。ウリクラゲのように櫛板をもつクラゲは、クシクラゲとも呼ばれ、有櫛動物に入ります。

 一方、刺胞動物には、ミズクラゲやアカクラゲなど、よく知られたクラゲが多く含まれています。刺胞動物の特徴は、刺胞という毒針をもっていることで、イソギンチャクやサンゴなどもこのグループに含まれています。

 ウリクラゲは、櫛板が光を反射するため、七色に光って見えます。しかし、その幻想的な姿からは想像できないような食事の仕方をします。ウリクラゲが食べるのは、カブトクラゲなど同じ有櫛動物のなかまのクラゲで、ときにはウリクラゲ同士が共食いをすることもあります。

 ウリクラゲの口は、普段は閉じていて目立ちませんが、食事のときには大きく開き、スルッと吸い込むようにして食べてしまいます。以前私は、2センチメートルほどのウリクラゲが自分の体の倍以上もあるカブトクラゲに吸いついているのを見て、とても驚いたことがあります。

 今回ご紹介したウリクラゲは、2011年3月末まで展示する予定です。近くでは刺胞動物のミズクラゲも展示していますので、ぜひその違いを比べてみてください。

写真上:ウリクラゲ
写真下:光るようす

〔葛西臨海水族園飼育展示係 戸村奈実子〕

(2011年03月04日)



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