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オグロヅルが繁殖!国内初──上野 9/10
 カシミール地方やチベット、中国にすむオグロヅル。タンチョウに似ていますが、やや小型。また、タンチョウの尾羽が白色なのに対して、オグロヅルの尾羽は──名前のとおり──黒色です。
 え? タンチョウの尾羽も黒? いえ、タンチョウは「風切羽」(翼の主要部をなす羽毛)の一部が黒いだけで、尾骨から生えている「尾羽」は白色なのです。翼を閉じていると、黒い羽毛が尾羽をおおってしまうので、尾羽も黒とかんちがいされる方が多いようです。

 オグロヅルはワシントン条約付属第I表、IUCNレッドリストの危急種にも指定されている希少動物です。そのオグロヅルが、2004年7月16日に孵化しました!
 2004年5月30日と6月2日、1個ずつ産卵を確認しました。ところが、6月4日に1個が割れていたので、原因不明ながら、残る1個を担当者が孵卵器に移動。すると、6月16日と18日に1個ずつ産卵が見られました(卵が除去されると、産み足そうとする鳥の「補卵性」)。しかし6月20日、また1個が割れていたので、1個を孵卵器にうつしました。
 7月1日、最初の卵に「嘴打ち」(はしうち:ひながくちばしで殼を突いて割ろうとする行動)を確認。翌7月2日には、日本で初めてオグロヅルが誕生しました! ところが、この個体は7月9日に死亡。
 後から孵卵器に入れた卵は7月15日に嘴打ちが見られ、翌16日に孵化しました。孵化時の体重は 132グラムです。人工育雛の結果、約2週間で、アジの切り身、キビナゴ、ツル用ペレットなどを自分で食べるまでに成長。5週間経つと体重も1,680グラムにまで増えました。

 生まれた幼鳥は、水禽舎の一部で公開しています。また、動画も「東京ズーネットBB」でまもなく公開予定。お楽しみに!

(2004年9月10日)



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