クリスマスに食卓に上がるトリの丸焼きといえばシチメンチョウを思い浮かべますが、本物のシチメンチョウの姿はあまり見たことがない方が多いのではないでしょうか。
そこで上野動物園子ども動物園では、シチメンチョウを真近で見ていただくため、2010年12月15日からシチメンチョウのオス1羽を、ヤギやニワトリなどを放し飼いにしている「なかよし広場」に仲間入りさせました。このシチメンチョウは、東園と西園を繋ぐイソップ橋下の運動場で飼育されていた3羽(オス2羽、メス1羽)のうちの1羽です。
シチメンチョウは興奮しているときは顔や肉垂が鮮やかな赤色になり、緊張しているときは薄ピンク色でやや青白く、まさに顔面蒼白といった感じの色になります。シチメンチョウという名前は漢字では「七面鳥」と書き、七つの顔色をもつ鳥という意味だそうです。
初めてなかよし広場にシチメンチョウを放したとき、慣れない環境や見慣れないニワトリたちに戸惑い、緊張して顔色が悪くなるのではと思っていました。しかし、予想に反して顔を真っ赤にし、広場のニワトリたちに向かって羽を扇形に広げ、ディスプレイを始めました。「僕は強いんだぞ、立派なんだぞ」とアピールしているのです。そんな姿を見て、ニワトリたちは一斉に警戒の声をあげ、逃げていきました。周囲にニワトリたちがいなくなってもシチメンチョウはディスプレイをやめず、30分もするとなかよし広場で一番高いヤギ山の上でもはじめました。その後、彼は休むことなく1日中羽を広げ続けました。
今は自分の地位を築こうと必死の彼ですが、何日か経って環境に慣れればディスプレイをする回数も少なくなることでしょう。張り切って自己主張しているシチメンチョウのようすは、今だけの姿なのかもしれません。お早めに子ども動物園なかよし広場にお越しください。
〔上野動物園子ども動物園係 吉田真理子〕
(2010年12月17日)
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