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シマリスの冬眠
 └─上野  2010/12/10

 上野動物園の「クマたちの丘」では、動物の生態を伝え、その生理に合った展示を目的として、ニホンツキノワグマの冬眠展示をおこなってきましたが、エゾヒグマ放飼場とニホンツキノワグマ放飼場の間で展示しているシマリスやヤマネなど小動物も冬眠していました。今回はクマやヤマネより一足先に冬眠に入ったシマリスを紹介したいと思います。

 シマリスは10月から4月ごろまで約200日にもおよぶ長い期間冬眠しますが、シマリスの冬眠はクマとは少し違った仕方をします。
 クマは冬眠前餌をたくさん食べ、脂肪を体に蓄えます。冬眠中に目覚めることはありますが、何も食べず排泄もしません。

 一方シマリスは、冬眠前に脂肪を蓄えることはせず、代わりに1~2メートルほどの深い穴を掘り、この中に餌を貯めます。穴の中に10リットル近くのどんぐりが貯めてあったという記録もあります。そして、冬眠中でもたびたび目覚め、貯めていた餌を食べ排泄をします。シマリスは冬眠中、食べ物を消化・吸収する機能はある程度維持していますが、体温を下げエネルギーの消耗を少なくすることで、あまり食べなくてもいい体にしているのです。

 今はシマリスだけが冬眠していますが、もう少し経つととなりに展示しているヤマネやツキノワグマも冬眠に入ります。この冬は「クマたちの丘」に来て、動物たちの冬の過ごし方を見くらべてください。

※東京ズーネットBBの動画「ツキノワグマの冬眠展示

〔上野動物園東園飼育展示係 野島大貴〕

(2010年12月10日)



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