2010年11月30日、「アイアイの飼育・展示」が平成22年度東京都職員表彰を受け、12名の職員から成るアイアイ飼育繁殖展示グループのリーダー細田孝久職員に石原慎太郎都知事から表彰状が授与されました。
これは、アイアイの飼育繁殖に日本で初めて成功し、世界の動物園でトップクラスの繁殖実績をあげるとともに、展示の仕方を工夫し、夜行性であるアイアイが活動するようすを来園者に見やすくするため、「昼夜逆転展示」によって成功したことを評価されたものです。
2001年のアイアイ来園当初は、世界で飼育する動物園が少なく、飼育繁殖のノウハウがほとんどないなかで飼育が始まりました。現在は、世界の動物園のなかで最多の8頭を飼育しており、オスの「マミルア」とメスの「ソア」のペアから生まれて育った子どもは5頭です。これは、同一ペアから成育した数として動物園一です。成功の裏には、給餌に関してさまざまな調整をおこなったり、ペアリングのタイミングを測るためにメスの生理状態に関する膨大なデータを蓄積したり、地道な努力があります。(なお動物園以外の研究施設では、アメリカデューク大学レムールセンターで19頭飼育しています。)
また「アイアイのすむ森」では、夜行性であるアイアイが夜行動して昼休む姿を同じ施設内で観察することができます。また、透明のアクリルパイプに餌を入れ、アイアイが長い中指を使って餌をかきだして食べるようすを見ていただく工夫もしています(午後3時30分)。
今後もさらに、アイアイはじめ多くの動物たちの飼育や展示の工夫を進めていきたいと思います。
※東京ズーネットのBBの動画「
アイアイの指の動きを観察」
写真上:アイアイ
写真下:昼夜逆転させた展示場
〔上野動物園西園飼育展示係 寺田光宏〕
(2010年12月10日)