多摩動物公園の昆虫生態園でオオシママドボタルが羽化し始めています。
オオシママドボタルの生息地は沖縄県の石垣島や西表島などで、10月から翌年1月ころまで成虫が見られます。成虫の特徴は、オスの体長がメスの半分くらいしかないのに、触角はメスと同じくらい長いことと、メスに飛ぶための翅がないことです。
オスもメスも発光するのですが、メスの発光は弱く、発光器がお腹側にあるため、広い森の中を歩いて移動するメスをオスが見つけるのは困難に思われます。ホタルの成虫の発光は、オスとメスが出会うためのシグナルといわれていますが、どうやってオスはメスをみつけているのでしょうか?
羽化して数日経ったメスの飼育ケースの蓋をあけてみたら、嗅いだことのない独特な匂いがしました。オスはこの匂いを嗅ぎつけてメスをみつけていると考えられています。オスの触角は匂いを感じる役割もしているため、長くなっているのかもしれません。ちなみにこの匂いは幼虫では感じられませんでしたが、卵はメスの成虫と似たような匂いがしました。卵のときは外敵を寄せ付けない役割をしているのかもしれません。
オオシママドボタルはまだ羽化数が少ないため、展示していません。展示しても、ガラス越しなので匂いを嗅ぐことはできないのですが、この時期限定の匂いを嗅いでいただこうと思います。そして、ホタルの光を間近で見てみませんか。
2010年10月11日(月・祝)午前11時から、ホタルのキーパーズトークでお待ちしております。場所は昆虫園本館(とんぼ館)2階の昆虫ホールです。
写真:左がオス、右がメス
〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 杉田務〕
(2010年10月08日)
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