2010年9月20日は「敬老の日」です。敬老の日は、昭和22年兵庫県のとある村で、「老人を大切にし、年寄りの知恵を借りて村作りをしよう」と、農閑期にあたり気候もよい9月中旬の15日を「としよりの日」とし、敬老会を開いたことが、そもそもの始まりだそうです。
多摩動物公園では、この日長寿の動物をお祝いする式典を開催します。そこで今回は、カンガルー園で最長老の「シュガー」のお話です。
彼女は(シュガーはメスなのです)、1996年約30年ぶりに再導入された、7頭のカンガルーの中の1頭パピオンの3頭目の子どもとして、1999年10月に誕生しました。今年の10月で11歳になります。再導入からの14年間で、10歳を超える年齢まで生存したのは2頭でしたが、シュガーはこの記録を抜き、当園での長寿記録を更新中です。
長生きをしているので当然子だくさんです。2001年3月に最初の子グレープ(オス)を産んでから、2008年12月に生まれた最後の子ケイゴ(オス)まで、じつにオス5頭、メス4頭計9頭の子を産んでいます。
現在カンガルー園で生活しているシュガー一族は、子どものシン(オス)、ケイゴ(オス)、孫のユウコ(メス)イズミ(メス)、ひ孫のサトミ(メス)、ケイコ(メス)の6頭を数えます。
2005年10月にミルクというメスが、6月生まれのマサキ(オス)を残し死亡したときのことです。シュガー自身も5月にマミを生んでいたこともあり、まだ母親が必要だったマサキに対して、自分の子と分け隔てなく母乳をあたえ、2頭を育て上げました。
現在シュガーは、左目に白内障を患っていますが、それ以外はきわめて健康で、朝は動物舎から一番に放飼場へ出て行き、食欲旺盛で、動きも活発で、とても元気に生活しています。
彼女が1日でも長生きできるよう、よりよい環境を提供していきたいと考えています。
〔多摩動物公園南園飼育展示係 浅見準一〕
(2010年09月17日)
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