井の頭自然文化園では2009年、タヌキをテーマにした特設展示「井の頭狸庵にようこそ」を開催しました。この展示では、身近なタヌキをもっとよく知ってもらおうと、タヌキの文化的な側面と、東京の里山にくらすタヌキや都会でくらすタヌキを取り上げました。そのなかで、文化園周辺の航空写真パネルでタヌキが観察された場所を示し、その脇にポストを設けて来園者からタヌキ目撃情報を集めたのです。
集まった目撃情報はなんと247件もあり、このたびその結果をGoogle Mapsにまとめました。
タヌキ目撃情報1
タヌキ目撃情報2
※同じ個体を目撃していると推測される場合でも、それぞれ1件として示しています。
※ハクビシンと混同されている可能性があります。
目撃された地域は、来園者からの情報ということもあり、文化園周辺にかたよっていましたが、目撃例がもっとも多かったのは杉並区(49件)で、武蔵野市(36件)、練馬区(32件)と続きました。新宿区の四ツ谷駅という情報もありました。
観察された場所は、公園、小学校、大学、お寺や神社、川沿いや線路沿いなどが多く、またゴミをあさっていた、ネコの餌を食べていた、ネコとけんかをしていた、といったようすも報告されました。タヌキが、緑地があり、夜は人がいなくなる場所や人があまり近づかない場所でくらしていること、移動には河川敷や電車の線路などを利用していること、そしてネコの餌を食べていることなど、都会でのくらしをうかがうことができました。
また道ばたで死亡していた(8件)、毛が抜けて病気のようだった(13件)といった観察例も寄せられ、都会でくらすタヌキが交通事故や疥癬(皮膚病)に苦しんでいることもわかりました。
たくさんの目撃情報から、意外にも多くのタヌキが私たちの近くでくらしていること、そして、ゴミ、ネコへの餌やり、交通事故など、私たちのくらす社会の問題も見えてきました。
目撃情報をお寄せいただいた方々ありがとうございました!
(2010年09月03日)