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ヤマドリたちとかくれんぼ
 └─井の頭 2010/08/20

 井の頭自然文化園に、2010年生まれのヤマドリが展示場にお目見えしました。展示場所は、ヤマドリ舎に向かって右から2番目のケージです。

 6月4日のニュースでは、ひなの数は2羽でしたが、その後続々と孵化し、合計6羽になりました。

 いちばん最後に孵化したひなも約60日齢となり、7月30日には非公開のケージから展示場へ全羽を移動しました。屋外に出るのは初めてです。

 展示場に放すと、幼鳥たちはすぐにわずかな茂みの中にもぐって身を伏せ、近くを人が通るといきなり飛び出し、ほかの茂みに駆け込みます。そして、またじっと身を伏せていました。飼育係が育てた鳥たちなので、親鳥から教わった行動ではないのですが、茂みの中に身を隠すという、ヤマドリらしい警戒心の強さを示しました。 おとなのオスは光沢のある赤い羽をもっていますが、幼鳥のときはオスもメスも同じ外見で、おとなのメスに似た、茶色いまだら模様をしています。このまだら模様は自然に溶け込む保護色です。身を伏せてしまうと存在がまったくわかりません。

 放飼した当初は身を寄せ合って茂みに隠れていることが多く、健康状態を確認するのも容易ではありませんでした。そんなときはこちらも物陰に隠れ、ヤマドリが落ち着き、動き始めるのを待って観察します。まるでヤマドリとかくれんぼをしているようです。最近は環境に慣れてきたようで、開けた場所に出てくることが多くなりました。

 今はなかよく群れでくらしているこの6羽も、来年にはなわばり意識がでてきて同居はむずかしくなります。今の時期しかごらんになれないヤマドリたちの姿をぜひ見に来てください。「展示場にいない」と思っても、じっと見ていると茂みからいきなり飛び出してくるかもしれませんよ。

〔井の頭自然文化園飼育展示係 高橋美紀〕

(2010年08月20日)



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