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毒をもつ生物(4)人気者じつは海の厄介者、アカエイ
 └─葛西  2010/08/13

 2009年から、葛西臨海水族園で、エイに触れる好評の特設展示「タッチンフィーリン」を開催しています。

 その人気者の一つにアカエイがいます。平べったい円盤状の体のふちを波立たせながら泳ぐ、ちょっと変わった魚です。サメと同様、ふだんめったに触れない生き物なので、特にお子さんは歓声をあげながら夢中になっています。その触り心地は、水族園に来て実際に触ってみてからのお楽しみ!

 水族園で人気のアカエイですが、実際の海ではちょっと厄介者のようです。じつは、アカエイの尾には毒のある棘があり、これに刺される事故が起こっているのです。ちなみに「タッチンフィーリン」ではこの棘は取り除いてあります。

 アカエイは繁殖のため春から夏にかけて沿岸の浅瀬に集まります。ちょうど私たちが海水浴や潮干狩りに出かける時期と重なっているため、ばったり出会ってしまうのです。

 アカエイは、じっとしているときは浅瀬の泥や砂に潜っていて、うっかり体を踏みつけられると尾を反りかえして棘で刺すようです。この棘の周りは鋭い鋸状になっていて、ゴム底の靴くらいは平気で貫通し、一度刺さるとなかなか抜けません。さらに、この棘には毒腺があり、刺されると患部に激しい痛みと焼け付くような感覚が生じ、重症のケースでは死亡することもあるようです。もし刺されたら、速やかに病院へ行くことをお勧めします。

 水族園では人気者のアカエイも、自然の海ではまるで厄介者のようですが、彼らは子孫を残すために浅瀬にやってくるわけで、決して私たち人間を刺すためにやってくるのではありません。もしかしたら、浅瀬に来ると人間に踏まれるので、アカエイたちは自分たちが被害者だと思っているかも知れませんね。

 海水浴や潮干狩りへ行く際には、死んだアカエイでも、棘でけがをする場合があるのでくれぐれも注意して、絶対に触らないでください。

写真上:アカエイ
写真下:尾にある棘の拡大図

〔葛西臨海水族園飼育展示係 田辺信吾〕



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