ミーアキャットは、アフリカ南部のカラハリ砂漠などで地面に巣穴を掘って生活しています。そのため土を掘る習性があり、その土を体に浴びることによって、毛並みや皮膚の健康を保っています。
土を掘ることは野生のミーアキャットが日々おこなっている行動です。土掘りを上野動物園のミーアキャットもおこなえるようにすれば、いきいきと動くのではないか、また、来園者の方たちにもその行動を見ていただくことにより、本来のミーアキャットの姿を理解していただけるのではないかと考えました。
そこで、90×50×60センチメートルのアクリルケースに土を入れ、ミーアキャットが自由に出入りできるようにしました。ケースの上にはふたをして、土ぼこりが舞って来園者にかからないようにくふうしました。
しかし作ってはみたものの、ミーアキャットが本当に利用してくれるのか?土は本当に舞わないか?など、不安もありました。
アクリルケースを展示場に入れて1日目は、警戒して1頭も入ってくれませんでしたが、2日目からは、好奇心旺盛な子どもたちが入り始め、土を掘ってくれました。土ぼこりも観覧通路まで舞うことなく大成功でした。
以前は汚れた毛玉が腰のあたりに固まって張り付いている個体がいましたが、土掘りをすることで土が体の汚れを落とし、徐々に毛並みも良くなってきています。
今では、すっかりアクリルケースに慣れて、毎日一生懸命に土を掘っています。その姿をぜひ一度見に来てください。
・東京ズーネットBBの動画「
ミーアキャットの赤ちゃん」
(2008年08月撮影)
〔上野動物園西園飼育展示係 下重法子〕
(2010年07月16日)