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続・新たな視点で見てみると(20)
 水中の美麗な怪物? イセエビの幼生
 └─葛西  2010/07/09

 まずは、右の写真をごらんください。

 今にも襲いかかってきそうな、得体の知れない怪物のようでもあり、繊細なガラス細工で出来たクモのようにも見えませんか。

 じつは、これは卵から孵化したばかりのイセエビの幼生「フィロゾーマ」なのです。体の長さは1.5ミリメートルほど、脚を広げた大きさでも5ミリメートルほどしかありません。写真の中にある白線の長さが1ミリメートルです。

 2010年7月2日の開園前、特設展示「タッチンフィーリン」の水槽を見回っていた職員が、水面になにか綿ゴミのようなものが漂っているのを見つけました。すくい上げてみると大量のフィロゾーマ幼生が集まったものでした。この水槽で展示していたイセエビが抱卵していたので、その卵がいっせいに孵化したようです。

 イセエビのフィロゾーマ幼生は、クモのような形で透きとおった体をしていて、親とはかけ離れた容姿をしています。脱皮を繰り返しながら1年近くも海中を漂うプランクトン生活をするのですが、じつはこのフィロゾーマ幼生の時期は、どこでどのようにくらしているか、詳しくは分かっていないのです。

 水中の「小さな怪物?」を顕微鏡で撮影した動画をごらんください。

【動画】Windows Media形式
    QuickTime形式

写真上:まるで怪物?
写真下:背面からの写真(右下の白線が1ミリ)

〔葛西臨海水族園飼育展示係 三森亮介〕

(2010年07月09日)



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