まずは、右の写真をごらんください。
今にも襲いかかってきそうな、得体の知れない怪物のようでもあり、繊細なガラス細工で出来たクモのようにも見えませんか。
じつは、これは卵から孵化したばかりのイセエビの幼生「フィロゾーマ」なのです。体の長さは1.5ミリメートルほど、脚を広げた大きさでも5ミリメートルほどしかありません。写真の中にある白線の長さが1ミリメートルです。
2010年7月2日の開園前、特設展示「タッチンフィーリン」の水槽を見回っていた職員が、水面になにか綿ゴミのようなものが漂っているのを見つけました。すくい上げてみると大量のフィロゾーマ幼生が集まったものでした。この水槽で展示していたイセエビが抱卵していたので、その卵がいっせいに孵化したようです。
イセエビのフィロゾーマ幼生は、クモのような形で透きとおった体をしていて、親とはかけ離れた容姿をしています。脱皮を繰り返しながら1年近くも海中を漂うプランクトン生活をするのですが、じつはこのフィロゾーマ幼生の時期は、どこでどのようにくらしているか、詳しくは分かっていないのです。
水中の「小さな怪物?」を顕微鏡で撮影した動画をごらんください。
【動画】
Windows Media形式
QuickTime形式
写真上:まるで怪物?
写真下:背面からの写真(右下の白線が1ミリ)
〔葛西臨海水族園飼育展示係 三森亮介〕
(2010年07月09日)