6月です皆さん! そうです、いよいよ4年に一度のサッカーW杯が始まります! 今回の開催国は南アフリカ共和国であることは皆さんご承知の通り。
その海域の生物を展示している「南アフリカ水槽」の充実をはかるため、今年(2010年)2月に現地へ収集班が派遣されました(リニューアルされた水槽については
こちらのニュースをごらんください)。
では現地のようすをちょっとご紹介いたしましょう。
アフリカと聞いて皆さんは「暑い!」というイメージを抱きませんか? たしかに陸上は激暑です。ところが海中はそれとは真逆で「寒い」のです。アフリカ大陸の南端に位置するこの場所は、もうちょっと南に行けばあるのは南極のみ。当然水温も低いわけです。
はやる気持ちを押さえ、水の入らないドライスーツに身を包んでいると、船の周囲をイルカやクジラやオットセイ、果てはペンギンまでが現れては消えていくのだから、もうたまりません! 興奮度MAXでいざ潜降です。
最初に目に飛び込んでくるのは、高さ優に10メートは超える巨大海藻「シーバンブー」です。それが前に進めないくらい密生しており、そこはまさしく海藻の林です。
その林を抜けると、大きな岩山があるのですが、岩肌が全く見えません。表面がすべて色とりどりのイソギンチャクやウニ、ナマコなどの無脊椎動物で覆われ、岩肌に触れようと手を入れると手首まで埋まってしまうくらいです。
場所を移動すると、今度はなにやらグニョグニョと動く大きな塊を発見!近づいてみると、これが何千万匹というアミの大群です。
何から何まで桁違いの迫力で、まさに生物大爆発の海! とにかく「すげー海だっ」と感嘆の声を漏らす採集部隊一同なのでありました。
もちろんこれだけの生物を育むには海水に含まれる栄養もハンパではありません。制限ある水槽内でこの海のすごさをいかに再現するか、まさしくわれわれの腕の見せ所です。
日々静かに戦う飼育係を思い、かの地で戦う日本代表の姿と重ね合わせて、僕は「グッ」と拳を握りしめながらこうつぶやくのでした──さあ皆さんもごいっしょに、ガンバレニッポン!
写真上から
・巨大海藻シーバンブー
・岩を覆う無脊椎動物
・カラフルなイソギンチャク
・ケープペンギンのコロニー
〔葛西臨海水族園調査係 増渕和彦〕
(2010年06月11日)