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コモンマーモセット、今年も赤ちゃん誕生
 └─上野  2010/05/14

 2010年4月13日、上野動物園西園の小獣館でコモンマーモセットが生まれました。この母親は前回、2009年6月9日に2頭の子どもを産んでいますが、今回は1頭多い3頭の子どもを出産しました(前回の出産ニュースはこちら)。

 当初、3頭とも母親にしっかりつかまっているのでまずは一安心でしたが、じつはここからが問題です。コモンマーモセットは1回に2~5頭の子を出産し、父親も子を背負うことで子育てに協力しますが、母親の乳頭は人と同じで1対しかなく、子は自分の「専用乳首」をもつといわれているのです。

 つまり乳頭が1対2個しかないことから、適正な保育の能力は2頭までとされています。

 今回のように3頭生まれた場合、1頭が一つの乳頭を取り、2頭がもう一つの乳頭を取り合ってしまうため、結果的には1頭しか育たないことが多いといわれています。そこで、1頭を人工保育で育て、残り2頭を親にまかせることも考えましたが、まずは親に全頭をまかせることにしました。

 それからは3頭が無事に育つよう、親の餌には好物のバナナに粉ミルクをかけ、少しでも乳の出をよくするよう工夫したり、できるだけ刺激を与えないようにしたりして気をつけていました。しかし、生まれて9日目に1頭が母親たちにつかまっていられず地面に落ちてしまいました。私たちは何度か両親に返そうと試みましたが、子のつかまる力が弱く、人工保育に切り替えたものの、残念ながらこの個体は次の日に死亡してしまいました。

 残りの2頭も心配されましたが、動く力もついてきて、顔をあげて周りを見渡すような仕草や、巣箱内で自力で立つことも確認されるようになってきました。この2頭の子どもには死んでしまった子の分まで元気に育ってほしいと思います。

 今回生まれた2頭の子どもたちに両親、兄たちを加え、全部で6頭になったコモンマーモセットの家族に今後もぜひ注目してください。

〔上野動物園西園飼育展示係 野島大貴〕

(2010年05月14日)



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