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ツマムラサキマダラのためにプルメリアを導入
 └─多摩  2010/04/16

 昨年(2009年)秋、樹高2メートルほどのプルメリアを、生態園に入ってすぐの植え込みに植えました。プルメリアはキョウチクトウ科です。ツマムラサキマダラの幼虫はキョウチクトウも食べるので、産卵や飼育用にプルメリアも使えるのではないかと考え、実験的に導入しました。

 ところが、よろこんで(?)集まってくるのはイシガキモリバッタばかり。トノサマバッタはプルメリアを食べませんが、イシガキモリバッタによってプルメリアの葉はどんどん食い荒らされていきました。

 そこでたまらずネットで覆いましたが、今度はプルメリアの葉が一枚一枚落ちていきます。熱帯アメリカ原産の常緑樹ですが、日本で育てると温室内でも冬は葉を落としてしまうのだそうです。

 暖かくなるにつれ、プルメリアの枝先に新芽が現れ、大きく伸びてきたので、イシガキモリバッタを気にしつつ、ネットをはずしてツマムラサキマダラの動向に注目しました。その結果、プルメリアの広い葉の表にイシガケチョウが翅を広げて休む姿がたくさん見られるのですが、肝心のツマムラサキマダラはガジュマルやオオイタビ、キョウチクトウの新芽に産卵するばかりで、なかなかプルメリアに産んでくれません。

 その後、ツマムラサキマダラに一番人気のあるガジュマルの新芽がアザミウマの食害にあい、葉が硬く縮んでしまったので、その後は仕方なくという感じで、ツマムラサキマダラはプルメリアの新芽にも少数ながら産卵するようになり、そこから2匹が孵化し、現在3令にまで育っています。

 プルメリアは花が一つ咲くだけで、あたり一面によい香りがただようそうです。花を咲かせることに専念してもらうか、ツマムラサキマダラの食樹になってもらうか、今後を見守っているところです。

写真上から:
・ツマムラサキマダラ成虫
・卵
・葉を食べる幼虫
・大温室に植えたプルメリア

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 深谷高司〕

(2010年04月16日)



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