井の頭自然文化園では色とりどりの花が咲き始め、着々と春の訪れを感じられるようになりました。花粉に悩まされることも多くなってきたものの、真冬の寒さを乗り越え、ほっとしている方も多いのではないでしょうか?
園内でも、人一倍(鳥一倍?)暖かな春を心待ちにしている動物がいます。小型のフクロウのなかま、アオバズクです。ごぞんじの方は、アオバズクなら一年を通して熱帯鳥温室でくらしているのだから大丈夫じゃないかと思われることでしょう。
しかしこのアオバズク、今年から2か所で見ることができるようになっているのです。今回ご紹介するのは、「リスの小径」の脇にいるアオバズクです。
この個体は去年(2009年)5月にカラスに襲われているところを保護され、井の頭自然文化園にやってきました。フクロウといえどもアオバズクは小さいため、カラスに襲われることもあるようです。もともとひときわ臆病な鳥で、園に着いたばかりのころは、慣れない環境ということもあり、餌を自力で食べられない日が続きました。今ではすっかり元気になったので、その愛らしい姿をみなさんにも見ていただこうということになったのです。
アオバズクは本来、繁殖のため夏に日本を訪れる夏鳥ですから、冬の寒さには耐えられません。あらたに屋外に作った小屋で展示するため、アクリル板でまわりを囲い、上からヒーターを下げ、冬の寒さを防ぐ工夫を凝らしました。
なるべく暖かな日々を過ごしてもらいたい──しかし、そんな願いもむなしく、今季は雪の日が多く、冷え込みの厳しい冬でした。ぐっと冷え込むたびに、今夜は大丈夫だろうかと心配していましたが、防寒対策が功を奏したのか、今日まで元気に過ごしています。
井の頭自然文化園にお越しの際は、忘れずに「リスの小径」の隣でしずかにくらしているアオバズクにも会いに来てください。ただ、臆病な性格はそのままですので、そっと見守ってあげてくださいね!
〔井の頭自然文化園飼育展示係 古川沙織〕
(2010年03月19日)
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