オスは成長すると、広げたハサミ脚が4メートルに達するものもいるタカアシガニ、世界最大の甲殻類です。岩手県から九州までの太平洋岸、台湾東方沖の東シナ海に分布し、ふだんは水深150~800メートルに生息しており、春の産卵期には、30メートルほどの浅場までやってきて産卵するといわれています。その「世界最大のカニ・タカアシガニ」が深海コーナー4番目の水槽にやってきました!
さてここで、水族園に通な人の「ちょっと前に水族園でタカアシガニを見たよ!」という声が聞こえてきそうですね。たしかに、同じ水槽で長い間タカアシガニを展示していました。しかし、今回、みなさんにわざわざご紹介するのには、ちゃんとしたワケがあります。なんと、左右のハサミの先から先までの長さが2メートル78センチもある巨大なオスのタカアシガニがやってきたからなのです。その姿を見たみなさんからは「うわ~、大きい!」という驚きの声が聞こえてきます。
おとなの頭くらいの大きな甲羅を1メートルほどの長い足で支えて、スクッと立つ姿はスマートでかっこいいです。でもこの姿、木の枝に糸で家を作るあの生き物に似ていると思いませんか? タカアシガニは英語ではジャイアントスパイダークラブと呼ばれ、生物学的にはクモガニ科に分類されます。長い足でヒョイヒョイと歩く姿はまさしく「クモ」そっくりです。
タカアシガニの大きさに驚いたあとは、ぜひ体の細かい部分を観察して、目や触角、そして口などを探してみてください。体が大きいので細部までよく見ることができ、カニについて新しい発見があるかもしれません。ぜひ、今度の休日は「世界最大のカニ・タカアシガニ」を見に葛西臨海水族園へお出かけくさい。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 雨宮健太郎〕
(2010年02月26日)
|