上野動物園は、青森県で駆除対象となった下北半島の野生のニホンザル23頭を引き取り、2010年1月24日からサル山で公開を始めました(
動画ニュース)。
これまで長いあいだ上野動物園のサル山でくらしてきた亜種間雑種のニホンザルたちは、2010年1月7日、まずその一部の12頭を東園のサル舎に移すことにしました。サル舎では南米のサルなどを展示しています。
12頭を捕獲するにあたっては、サル山裏にある部屋に餌をまいておき、移動予定の個体が部屋に入ったら扉を閉めるという方法をとりました。これでなんとか最初の捕獲と移動が無事完了しました。
つづいて1月18日、残る個体の全頭捕獲です。個体数が多いため、飼育密度を考えて、今度はサル舎ではなく、西園のズーストック舎に移す計画です。しかし、サルも学習するので、前回のように部屋にすんなりと入ってはくれなくなります。そこで、一斉捕獲をおこなうしかありません。
午前中は、サルが高いところから落ちても大丈夫なように、落下防止用のネットを設置しました。そして午後一番から飼育展示課の職員が総出となり、約50名での大捕物となりました(写真上)。サルも逃げようとしますが、次々に捕獲されていきます。
捕獲したサルは、破傷風の予防接種や検査のための採血などをおこなってから(写真中上)動物移動用のカゴに入れ(写真中下)、ズーストック舎に移動します(写真下)。しかし、処置よりも捕獲のスピードの方が速いので、サルたちは網に入れられた状態のまま、列をなして処置の順番を待つかたちになりました。
全頭捕獲は1時間ほどで終わりました。処置とズーストック舎への移動は約2時間で完了。ズーストック舎に移った22頭のサルたちは、落ち着いて夕方の餌を食べていました。
サル舎では、従来のニホンザルを間近で見ることができます。また、サル山では青森県下北半島の「北限のサル」の群れをごらんください。
写真上から:
・サル山での捕獲作業
・予防接種や採血などの処置をおこなう
・移動用のカゴに収容
・軽トラックで移動
〔上野動物園飼育展示課東園飼育展示係 青木孝平〕
(2010年02月05日)