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カツオと日本文化、体の模様
 └─葛西  2009/10/30

 みなさんは、秋の味覚「戻り鰹」は食べましたか? 春の味覚「初鰹」とならび、私たちの食卓に季節感を伝えてくれる魚、カツオ。縄文時代の貝塚から骨の発掘記録があるほど、長い間日本人の生活にとけ込んできた魚です。

 カツオは世界中の温帯から熱帯域に生息し、沿岸から沖合までの海域表層を群れで回遊しています。日本近海では、春に黒潮に沿って九州から三陸沖まで北上し、秋になると方向転換をして南下します。肉食性で、魚類、エビなどの甲殻類、イカなどの頭足類を食べ、成長すると最大で体長1メートル、体重20キログラム超える場合もあります。

 さて、カツオと聞いて思い浮かぶものといえばカツオ節ですね!? カツオ節からとるダシは、日本料理に欠かすことのできないものです。そのカツオ節、なんと戦国時代の武士には「勝男武士」と称され、戦(いくさ)のお守りとされていました。現在でも、「勝男武士」は夫婦和合や子孫繁栄の象徴として、結納品の一つとされています。このように、カツオは日本人の食文化だけではなく、生活の文化にもとけこんだ魚なのです。

 ここでみなさん、カツオの体の模様を思い浮かべてみてください。思い浮かびましたか? おそらく、今みなさんの頭の中を泳いでいるカツオは、「背中が黒くてお腹側に黒い縦縞が何本かある」といった感じではないでしょうか?(注:「縦縞」は頭から尾の方向に走る縞です。)じつはその模様は、カツオが死んだ後で浮かびあがってくる模様なのです。では生きているときの模様はというと──背中は真っ青でお腹の黒い縦縞はありません。

 さらに、生きているとき、しかもカツオが興奮したときにしか見ることのできない模様があります。それは、体の両側に現れる「横縞」です。この「横縞」は、葛西臨海水族園でカツオたちが食事をするときに観察することができます。

 現在、葛西臨海水族園では「大洋の航海者2」の水槽でカツオを展示しており、毎日午後2時30分からが、この水槽を泳ぐ魚たちの食事の時間です。日本の文化を支えてきたカツオたちに会いに、ぜひ葛西臨海水族園へお出でください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 雨宮健太郎〕

(2009年10月30日)



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