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食虫植物ムジナモの展示
 └─葛西  2009/09/18

 葛西臨海水族園では、2009年9月17日から、水辺の自然「池沼のエリア」の小水槽でムジナモの展示を始めました。

 ムジナモはモウセンゴケ科の食虫植物です。根はなく、水中を浮遊し、長さは8センチ前後で、形は名前のとおりムジナ(タヌキやアナグマ)のしっぽのような細長い形をしています。

 植物なのでもちろん光合成ができますが、栄養分が少ない水域で窒素やリン、ミネラルなどの栄養分を「小さな生き物を食べること」で補充しています。

 間近で観察すると、葉の先に5ミリ前後の二枚貝の殻のような形をした捕虫器を見ることができるでしょう。この捕虫器は内側に折りたためる構造になっていて、センサーとなる感覚毛をもっています。このセンサーがミジンコやボウフラなどの存在を感じとると、一瞬で捕虫器を閉じ、捕まえてしまいます。

 ムジナモは、日本では1890年に小岩村(現在の江戸川区北小岩付近)で発見され、その後、利根川、信濃川、木曽川、淀川の各水系でも発見されました。しかし、水質の悪化や埋め立て、洪水などの影響により、野生ではほぼ絶滅を迎えました。

 現在、埼玉県羽生市の宝蔵寺沼で自生地復元の努力が続けられていて、地元のムジナモ保存会などによって保護・栽培されています。葛西臨海水族園の水槽で展示しているムジナモは、さいたま水族館から譲っていただいたものです。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 橋本浩史〕

(2009年09月18日)



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