上野動物園の両生爬虫類館(ビバリウム)では、温室いちばん奥の展示槽でマレーガビアルの展示を始めました。
マレーガビアルは全長4メートルほどの大きさに成長するクロコダイル科のワニですが、展示個体はまだ1メートルほどの大きさです。
マレーガビアルの特徴は、その細くて長い吻部(口に付随する突出した部位)です。この吻部は水中で抵抗を受けにくいと考えられており、そのメリットを活かして魚を主食としているようです。
この展示槽ではカメを展示していました。いずれもイシガメ科のカメで、マレーハコガメ、ビルマモレニアガメ、セイロンヤマガメの3種です。同居にあたって、マレーガビアルがカメを(ひょっとしたら、カメがワニを)傷つけてしまうのではないかという心配は少しありましたが、いざ同居を始めてみると、おたがい無関心です。それどころか、ちょうどいい足場として、おたがいに背中の上に乗っていたりしています。油断大敵ですが、今のところ、とくに心配はなさそうです。
マレーガビアルとこれら3種のカメは、ごく大雑把にまとめてしまうと、マレー半島を中心にして近接する地域に分布しています。ガラスを挟んで隣に展示しているミズオオトカゲも、この地域に分布しています。マレーガビアルとカメを合わせた計4種、あるいはミズオオトカゲを含めて計5種が、野生で一堂に会す(?)ことはないはずですが。
写真上から:
・展示風景
・マレーガビアルとセイロンヤマガメ
・ビルマモレニアガメ
・マレーハコガメ
・セイロンヤマガメ
〔上野動物園は虫類館飼育展示係 木村隆司〕
(2009年06月12日)
|