多摩動物公園開園6年後の1964年5月16日、ライオン園がオープンしました。動物がいる中に車で乗ったまま入る「サファリ形式」の展示としては世界初の試みで、今のサファリパークの原型となりました。3年がかりの建設で総工費が約1億2千万円(当時)、面積は約1万3,500 平米でした。乗車料金は大人50円、子供30円。展示個体はオス5頭、メス2頭でのスタートでした。
ライオンバスも代を重ね、2000年には4代目にあたる今の天然ガス車両が登場しました。ライオンは、1978年に32頭にまで増えたのですが、1995年には5頭にまで減ってしまったため、開園以来続いた群れを解散させ、現在の群れを作り直しました。ライオン園も1993年にサファリ橋の架け替えとライオン舎の建て替えをおこない、約600平米広くなりました。 開園当時の面影を残す物といえば、ケニアのイスラム教寺院をモデルにしたライオンバスステーションと、周囲を囲む高さ5メートルの擁壁くらいになりました。
こうして歴史を重ねてきたライオン園が満45周年を迎えた5月16日、多摩動物公園の動物ホールで、ライオン園45周年記念の動物園講演会を開催しました。東京動物園友の会の例会も兼ね、葛西臨海水族園、井の頭自然文化園、多摩動物公園、上野動物園の園長が最新ニュースをご紹介した後、ライオン園の歴史を担当者が紹介しました。
今では知る人も少なくなった開園前のライオン搬入や訓練のようす、「危険だ」という声に対して上野動物園でおこなわれた実験風景(檻をかぶせたゴーカートでライオンのいる中に入りました)、歴代のライオンバスの形状など、当時を知る人にはなつかしく、知らない世代には目新しい話題を数々の写真を使ってを振り返りました。
その後、上野動物園で動物解説員としても活躍された今泉忠明さん(現・日本ネコ科動物研究所所長)が、ネコ科動物について講演をおこないました。質疑応答を含めて約90分の講演でしたが、参加者のみなさんは、トラやライオンなど種類による違いや、ネコ科動物の骨格の特徴などの話を熱心に聞き入っていました。
飼育担当一同、これからもみなさんに親しまれるライオン園を目指していきます。今後ともよろしくお願いします。
写真上:貴重な写真を使って飼育担当者が講演
写真下:今泉忠明さんによる講演
〔多摩動物公園北園飼育展示係 谷口敦〕
(2009年06月12日)
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