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クロサイ「アルゴ」、子育て中!
 └─上野  2009/05/15

◎アルゴ母ちゃん子育て日記

 ヒガシクロサイのアルゴ初出産!のニュースから3週間がたちました(出産は2009年4月20日)。赤ちゃんの動画はこちら。赤ちゃんはメスと判明。母親のアルゴはとても落ち着いていて、おっぱいもたっぷり出るようで、よく飲みよく寝て、親子ともに順調です。

 母親を落ち着かせるために、出産前から室内展示室は「よしず」で覆っておきました。ここで赤ちゃんデビューのための準備を進めてきたのです。

 初めの1週間は、隣の部屋に行く練習です。移動に慣れているアルゴですが、基本的に赤ちゃんのそばを離れません。赤ちゃんの足どりはまだ頼りなく、母子での移動には時間がかかります。たまにアルゴだけ先に行ってしまったりすると、子どもがついて来ていないことに途中で気づき、「クークー」と大声で鳴きながら、大あわてで戻っていました。

 そして公開日を目前に控え、お客さんに見られるための練習として、よしずを約30分はずしてみました。ところが、職員に見られているときは落ち着いていたのに、よしずをはずしたとたんに落ち着きがなくなり、ツノでワラをかき集め、赤ちゃんを隠そうとし始めました。やがて、早足で動きまわり、しまいには赤ちゃんを蹴飛ばしてしまったのでヒヤッとしました。そこで、本番の公開日2009年5月1日には、よしずは取りつけたまま25センチほどの隙間を作り、お客さんにはそこから覗いていただくことになりました。

 連休も終わった5月11日の休園日、いよいよ「放飼場で遊ぶ」練習に取りかかりました。室内と放飼場を自由に行き来できるようにして、じっと観察していたところ、25分後、まずアルゴが放飼場に出ました。アルゴは赤ちゃんを呼ぶのですが、赤ちゃんは怖いのか後ずさりして戻ってしまいます。このやりとりを何回か繰り返し、45分後にはやっと親子で放飼場に出てくれました。

 最初は怖がっていった赤ちゃんですが、初めての外がうれしくてしかたないのか大コーフン! 転びそうないきおいで走り回り、飛び跳ねていました。その後を一所懸命、母親が追いかけます。赤ちゃんがなかなか止まってくれないので、グルグル、グルグル、しばらく2頭で回っていました。

 これまでの練習で少しずつ場所に慣れ、赤ちゃんの足取りもしっかりし、最近では親子でいっしょになって動くのもじょうずになってきました。おたがいに離れてしまっても、アルゴが「クークー」と鳴いて呼ぶと、赤ちゃんはすぐ反応し、母親のそばに行くので安心です。今後も、ゆっくりゆっくりと、親子のペースに合わせた練習をしていきます。

 現在、ヒガシクロサイ親子は午後1時から、室内展示室を中心にごらんになれます。ラッキーな方は、放飼場で元気に走り回る赤ちゃんに会えるかも?

写真上:2009年4月26日
写真下:2009年5月11日

〔上野動物園西園飼育展示係 多田和美〕

(2009年05月15日)



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