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カイツブリの巣作りと産卵
 └─井の頭 2009/04/17

 カイツブリは水面に浮き巣を作ることで有名です。井の頭自然文化園分園の水生物館では、その巣が目の前で、ふつう簡単には見えない水中部分まで観察することができます。

 野外では、水面から突き出た抽水植物の茎や、水面まで垂れ下がっている木の枝などを手がかりにして、水面に浮いた巣を作ります。水槽の中では水中から立ちあがっている数本の模造アシの茎を支えに使い、長いマコモの枯葉を編みあげるようにからませながら作っています。

 展示中のカイツブリのペアは、昨年(2008年)夏に水槽内で立派な巣を作り、夏から冬にかけて断続的に産卵を続けていました。取りあげた卵の一部は孵卵器で孵化を試み、1羽がかえりましたが残念ながら育ちませんでした。

 今年は早くから、水槽内にあるプラスチック製の擬草や抜け落ちた羽根などをくわえて運ぶようすが見られたので、4月9日、巣材になるマコモの枯葉を入れたところ、すぐに運び始め、上に乗れるほどの巣を1日で作ってしまいました。巣は去年のものと比べるとまだ小さく、しっかりしていませんが、巣材はたっぷりあるのにあまり積極的に大きな巣を作ろうとはしていません。

 そして早くも4月14日には、巣の中に卵が隠してあるのに気がつきました。1~2日前から白いものが見えかくれしていたので、実際の産卵はもう少し前なのでしょう。うまく行けば3週間ほどで孵化します。

 カイツブリは孵化したひなを親鳥が背中に乗せて育てるという、とても興味深い習性があります。そんな光景をぜひとも見たいし、お見せしたいところです。

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 荒井寛〕

(2009年04月17日)



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