上野動物園の両生爬虫類館では、魚類と爬虫類をつなぐ展示として、「何億年も昔からほとんど姿かたちが変わらない魚」を展示しています。そのひとつがアジアアロワナです。ただし、今回の主人公はアジアアロワナではなく、同じ水槽にいる5頭のスッポンモドキたち。スッポンモドキがアロワナの水槽に登場したのは、じつは今年(2009年)に入ってからのことです。
スッポンモドキは、よくスッポンとまちがわれます。たしかに、甲羅を皮膚が覆っているところや、鼻のかたちなど、両者には似ているところがありますが、スッポンはスッポン科、スッポンモドキはスッポンモドキ科に属します。
もともとスッポンモドキの展示水槽は、アロワナ水槽からさらに進んだ場所にあります。にもかかわらず、アロワナ水槽にスッポンモドキを入れたのは、既存のスッポンモドキ水槽が小さく、複数個体での展示ができないからです。大きなアロワナ水槽なら、スッポンモドキがゆうゆうと泳ぐすがたをお見せでる──そう考えて同居展示をおこなうことにしました。また、繁殖にもつなげていくつもりです。
ただし、スッポンモドキのオスどうしは激しくケンカをすることがあるため、個体どうしの相性を観察しながら、1か月ほどかけて慎重に作業を進めました。
アロワナ水槽に初めてスッポンモドキが入ったとき、アロワナたちも「なんだろう? 美味しいえさかな?」といったようすで、数匹がスッポンモドキの後ろをついて泳いでいました。そのうち、えさではないことがわかったのか、あまり気にするようすもなくなりました。
一方、スッポンモドキも1~2頭くらいでいたときは隠れがちで、あまり出てこなかったのですが、数が増えるにつれ、水槽の手前や真ん中で泳ぐようになり、よく見えるようになりました。
そんなころから、「あ、カメだぁ」「かわいい」などという声がお客さんから聞かれるようになりました。アロワナだけのときにくらべて、立ち止まったり覗きこんだりする方々が増えたように思います。やはりカメは人気があるのですね。
アロワナのあいだをゆうゆうと泳いだり、じゃれあったりするスッポンモドキたちを、両生爬虫類館にぜひ見に来てください。
〔上野動物園は虫類館飼育展示係 浅野晃良〕
・東京ズーネットBBの動画「
スッポンモドキとアロワナ同居」(2009年1月)
(2009年03月20日)