みなさんは「ビクニン」という魚を知っていますか? よくまちがわれるのですが、「ピクミン」(PIKMIN)ではありません。それはゲームの名前。PIでなくBI、「ビクニン」です!
食卓にのぼることもないので非常に知名度の低い魚なのですが、葛西臨海水族園のお客さんの中には「ビクニンを見に来ました」という方もいらっしゃるほど面白い(?)魚です。
葛西臨海水族園では現在、6匹のザラビクニンが「深海」の水槽で泳いでいます。ザラビクニンは、日本海やオホーツク海の水深200~800メートルに生息し、体長30センチほどの「ほんのり桜色」をした魚です。
体を触ると全身ブヨブヨとしてぬめりが強く、素手では簡単に持てないほどです。「ザラっとした、こんにゃく」──といった方が伝わりやすいかも知れません。
泳ぎ方も変わっていて、木綿布が「そよ風」になびく(?)ようにゆらゆらと泳ぎます。えさを探すときは逆立ちをしたようなすがたで胸びれと下唇を使い、海底を探りながら砂泥の中にいる獲物を見つけ出して食べます。
胸びれの先端と下唇の下には味を感知する部分があるので、真っ暗な深海でもえさを見つけることができるのです。えさが胸びれに触れたとたん、「パクッ」と食いつく行動は素早く、ゆらゆらと泳ぐすがたからは想像できないと思います。
桜咲く春。桜色の魚を見に葛西臨海水族園におこしください!
〔葛西臨海水族園飼育展示係 伊東二三夫〕
(2009年03月20日)
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