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沖縄から来たアオバズクとオリイオオコウモリ
 └─井の頭 2009/03/14

 日本産動物の飼育と展示に力を入れている井の頭自然文化園では2009年3月、熱帯鳥温室にアオバズク3羽とオリイオオコウモリ1頭を展示しました。いずれも寒さの苦手な動物ですが、温室という環境ならではの展示です。

 沖縄では、野生動物が交通事故などでケガをしたり死んだりする例が増えています。沖縄の獣医師会や NPO法人が救護や治療、自然復帰の努力を続けていますが、すべての個体を自然に返せるわけではありません。施設や資金、人員にも限界があります。そこで、そうした現状を知っていただくためにも、沖縄県の協力を得て、自然に帰せない個体を譲り受け、展示することにしたのです。

 アオバズクはフクロウのなかまで、本州では夏に青葉が茂るころ渡ってきて、樹洞などで繁殖します。都内でも神社の大木などで営巣し、比較的身近なフクロウでしたが、繁殖に適した木が減ったことなどから、見られなくなってきました。来園した3羽は沖縄で事故にあい、片翼を失ったりした個体です。

 オリイオオコウモリはクビワオオコウモリの亜種で、沖縄本島と周辺の小島に分布しています。日本にはオオコウモリ類としてオガサワラオオコウモリとクビワオオコウモリの2種類が知られています。

 オオコウモリは超音波を使って昆虫類を捕らえる小型コウモリ類とはちがい、英語で「飛ぶキツネ」Flying Foxと呼ばれるとおり、キツネに似たかわいい顔をしていて、おもに果実類を食べています。今回来園したのは、母親が事故で死亡したときに胸に抱かれていた個体です。その後、人工保育で育ちましたが、右目が不自由なようで、野生に帰れなかったのです。練習不足でまだ飛ぶことができないため、現在特訓中です。

 この展示をつうじて、野生動物の事故が沖縄だけでなく、どこでも起こることを知っていただければ、かれらも救われるでしょう。また、自然の中に車で入るときは、そこにくらす動物がいることを思い出し、「思いやり運転」を心がけてください。ゆっくり走れば、野生動物たちとの出会いもあるでしょう。

 なお、熱帯鳥温室でごらんになるときは、驚かさないよう、植木のすきまからそっと見てやってください。よろしくお願いいたします。

〔井の頭自然文化園飼育展示係 木崎恒男〕

(2009年03月14日)



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