まずは、右の写真をごらんください。糞の中にうごめくのは、メタリックグリーンの宝石? じつは、ミドリツヤダイコクコガネ(
Oxysternon conspicillatum) という名のコガネムシの一種です。
体長は20mm前後で、全体に緑色の鈍い光沢があり、背面には黒いすじがあります。オスの頭部には上向きに1本のツノがあり、さらに前胸にも短いツノが2本出ています。メスにはツノがありません。
今年(2008年)5月に展示したスカラベ↓と同じ糞虫です(
ニュース)。
ミドリツヤダイコクコガネは動物の糞(多摩動物公園ではスイギュウの糞)に集まり、これを食べていますが、砂に穴を掘り、その中に糞の塊を運び込む行動も見られます。日本のダイコクコガネは糞で「育児球」を作り、子育てをしますが、ミドリツヤダイコクコガネはペルーからやって来ました。
ペルーといえば、多摩動物公園で飼育しているハキリアリもペルー産です。アメリカ大陸に棲むダイコクコガネのなかまにはは、美しい色彩のものや大きなツノをもつものが多く見られます。
“糞の中の宝石”をごらんになりたい方は、多摩動物公園の昆虫園本館2階へどうぞおこしください!
写真上:ミドリツヤダイコクコガネのオス
写真下:雌雄が並んで糞を食べているようす
(手前の個体がオス)
〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 野村友宏〕
(2008年12月26日)