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ミズグモの生息地へ
 └─井の頭 2008/12/05

 2008年10月1日から3日まで、ミズグモの生息地調査と採集をおこないました。ミズグモはこれまでに、北海道、青森県、京都府、大分県、鹿児島県で発見されたことがあります。今回は昨年も調査をおこなった北海道勇払郡に出かけました。

 ミズグモの生息地は、水草が豊富にあり、流れのほとんどない池や湿地です。調査地周辺はアシやガマが生い茂り、水や泥の深いところもあったため、安全にミズグモを採集できそうなポイントを見つけるのに苦労しました。いくつかのポイントで採集をおこないましたが、ミズグモを採集することができたのは1か所だけでした。

 採集することのできたポイントは、水深が約30センチで、スゲのなかまがところどろに茂っている、流れのない比較的開けた湿地でした。昨年はタヌキモやヒメタヌキモの中からミズグモが採集されましたが、なぜか今年はそれらの水草のほとんどが枯れて底に沈んでいました。

 沈んだ水草を網ですくうと、枯れて絡み合ったタヌキモがたくさん入って、水が濁ってしまい、その中からはミズグモを見つけることができませんでした。

 ミズグモを採集することができたのは、スゲの根元でした。採集できたミズグモの大半は、一つのスゲ群落で採れ、他のスゲ群落やアシからはほとんど採れませんでした。なぜそのスゲ群落だけ多数のミズグモを採集することができたのかはわかりません。

 ミズグモ以外に、ゲンゴロウ、コオイムシ、ヒメミズカマキリ、マツモムシ、多数のヤゴ、ミズムシ、エゾトミヨ、エゾホトケドジョウなどが見られ、多様な生き物のすむ、すばらしい環境でした。今回の調査・採集で得た経験を今後のミズグモの飼育や展示に活かしていくつもりです。

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 小木曽正造〕

*東京ズーネットBBの動画
 「水中で生活するミズグモ」(2008年07月26日撮影)

(2008年12月05日)



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