多摩動物公園の昆虫園では、毎年1度、展示用の水生昆虫を野外に採集しに行きます。採集は多摩動物公園だけでなく、井の頭自然文化園と葛西臨海水族園と合同でおこないます。
採集できる水生昆虫は、ゲンゴロウ、ガムシ、ミズカマキリ、ヒメミズカマキリ、タイコウチ、オオコオイムシ、コオイムシ、マツモムシ、ヤゴ、小型のゲンゴロウ類などです。
国内最大の水生昆虫であるタガメも採集できればよいのですが、タガメはゲンゴロウなどと生息地が異なるため、今回の採集地では得ることができません。当園ではタガメは採集せずに累代繁殖させて展示数を保っています。
水生昆虫を採集するときは、「胴長」と呼ばれる、胸まである防水性ボディースーツのようなものを着用して池に入ります。そして、泥に足をとられて動けなくなってしまわないよう、急に深水にはまらないように慎重に前進しながら網で採集をします。
採集だけではなく、水生昆虫がくらす生息環境を調べ、各生息場所での生息数も調査します。また、水生昆虫の生息場所を探し出すことも目的の一つです。しかし、今回の調査では新しい生息場所を見つけることはできず、生息できそうだった池のまわりも、悲しいことにコンクリートで固められ、フェンスで囲まれてしまっていたり、コイなどの大型の魚が放されていたり、水生昆虫が生息するにはきびしい環境になってしまっているところが数多くありました。水生昆虫の生息できる環境が少しでも多く残ってほしいものです。
写真上:胴長を着て池に入ります
写真中:水生昆虫がたくさん採れた池
写真下:まわりをコンクリートで固められてしまった池
〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 下重法子〕
(2008年10月24日)
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