2024年10月2日追記:
「ポロ」が2024年10月1日に死亡しました。
詳しくはこちらをご覧ください。
上野動物園では2頭のオスのエゾヒグマ「ポロ」「ポン」を飼育しています。
2006年2月2日に生後約2か月で上野動物園に来園した2頭は今年で18歳になりました。初老に差しかかり、体重が増えにくくなったり、発情が不定期に来たりと体調に変化が見られています。特にポロは昨年の夏に大きく体調を崩し、現在も治療を継続しているので、その状況をお伝えします。

エゾヒグマ「ポロ」
(2023年11月26日撮影)
ポロは昨年(2023年)7月ごろより活力低下と食欲不振が見られ、関節の痛みや関節を動かした際の関節音が目立つようになってきたため、8月16日に麻酔をかけて詳細な検査をおこなったところ、関節を含む全身の強い炎症が確認されました。確定診断にはいたりませんでしたが、症状や検査結果、免疫抑制剤に対して良好な反応を示したことから、免疫介在性多発性関節炎や関節リウマチなどの「自己免疫性疾患」を疑い治療を継続しています。現在は治療薬の内服により活力・食欲ともに良好です。
免疫抑制剤の長期投与による副作用が出ないようにポロの体調を見ながら投薬量を調整しているため、症状が再発してしまうことがあります。また、完治する病気では無いため、数年かけて徐々に症状が進行し、薬ではコントロールができなくなる可能性もあります。
展示の有無や収容時間の判断はポロの体調を見ながら慎重におこないますので、ポロをご覧いただけない場合が今後もあるかと思いますが、温かく見守っていただければ幸いです。
〔上野動物園東園飼育展示係〕
2024年6月21日更新
2024年5月末ごろから、後肢関節の痛みを気にするような仕草がしばしば見られ、立ち上がりや動き出しが鈍重になってきたため、投薬治療をしながら、現在は終日室内で療養しております。
展示の再開につきましては、まだしばらく先になりそうな状況です。ポロの体調を見ながら慎重に判断いたしますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
2024年8月2日更新
展示を休止したころは体調に波があり、調子が悪いときは歩行が安定せず、食欲も低下していましたが、現在は薬でコントロールができており、比較的安定しています。調子のよい日は食欲も旺盛で、自ら体重計まで移動して体重測定もできています。
また、今年の夏も兄弟のポン同様に、スイカを食べています。
ポロは引き続き療養が必要な状態ですので、今年の夏は涼しい舎内ですごします。

部屋でスイカを食べるポロ
2024年8月22日更新
8月の初めには比較的安定しているとお知らせしたエゾヒグマ「ポロ」ですが、ここにきてまた調子を崩しています。
これまでも調子が悪くなると薬を増やすなどして対応してきましたが、徐々に薬の効きが悪くなり、食欲の低下もみられるため、吹き矢による投与も併用しています。持ち直すことを願っておりますが、ポロの免疫介在性多発性関節炎あるいは関節リウマチが疑われる症状の進行、または付随したほかの疾患の併発が考えられ、薬によるコントロールがたいへん難しくなってきました。
引き続きポロが穏やかにすごせるよう、飼育管理に努めます。
(2024年01月08日)
(2024年06月21日:近況について更新)
(2024年08月02日:近況について更新)
(2024年08月22日:近況について更新)
(2024年10月02日:「ポロ」の死亡について追記)