上野動物園のスマトラトラ「ミンピ」が3頭の子を出産してから、あっというまに約3週間がすぎました。
ミンピは産室から出て休息する時間が増えるようになりましたが、子が鳴くとすぐに授乳やグルーミングしに産室にもどっており、はたから見ても安心できるほど熱心に子育てをしています。
2023年4月に「アサ」(メス)を出産した際は、出産翌日の午後からアサへの関心が薄れていましたが、今回はそのようなようすは見られませんでした(過去の研究
[※]によると、トラの子の生存率は3~4頭の場合が高いとのことです。確実なことはいえませんが、アサの場合は、1頭が死産だったため、結果的に1頭出産と同じになってしまったことが子育てに関心を示さなかったことにつながったのかもしれません)。
12月21日には子が初めて産室から出るようになりました。ミンピは子が寝室内を這うようすを数分眺めたあと、そっと首元をくわえて産室に戻していました。そんなようすからも、ミンピに任せて大丈夫と、私たちもほっとしています。
スマトラトラ「ミンピ」と子どもたち
12月23日には性別判定と初めての体重測定をおこないました。オスが2頭(2,530g、
2,795g 2,855g)、メスが1頭(
2,855g 2,795g)で、過去のスマトラトラの記録と比べて概ね似た数値です。無事に成長してくれること願いつつ、定期的に身体測定を続けていきます。(※2024年2月21日:体重計測時の記載ミスがあったため数値を修正しました。)
体重計測時の記載ミスにより、数値が間違っておりましたので修正いたします
体重測定のようす
^ ※参考文献: Sarah P. Saunders, Tara Harris, Kathy Traylor-Holzer, Karen Goodrowe Beck. Factors influencing breeding success, ovarian cyclicity, and cub survival in zoo-managed tigers (Panthera tigris), Animal Reproduction Science, 2014, 144, p.38-47.
doi:10.1016/j.anireprosci.2013.11.006
〔上野動物園東園飼育展示係〕
『ネコ科動物の未来を拓く!動物園との繁殖研究・妊娠検査で保全に繋げる』
~岐阜大学 応用生物科学部 動物繁殖学研究室のクラウドファンディングのお知らせ~
上野動物園では、スマトラトラの繁殖のために、岐阜大学との共同研究として糞中性ホルモンの分析をおこなっています。この分析により、繁殖生理が解明されることで、動物園のもつ種の保存・生息域外保全の機能が強化され、絶滅の危険性の高い動物たちを守ることにつながります。
今回、この研究を発展させるために、岐阜大学では、クラウドファンディングを実施しています。ご興味のある方は、ぜひ以下のリンク先からご確認ください。
◎URL:
https://readyfor.jp/projects/zooreplab-neko(外部サイト)
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(2024年02月21日:体重数値を修正)