上野動物園は環境省から2022年8月12日付で「認定希少種保全動植物園等」制度における「希少種保全動植物園等」に認定され、このたび認定証を受領しました。
本制度は、希少種の保護や増殖について一定の基準を満たす動植物園等を環境大臣が認定する制度です。「種の保存法」の改正によって2018年6月1日に始まりました。制度の創設以降、上野動物園を含む12の施設が認定されています。都立動物園・水族園としては、葛西臨海水族園と井の頭自然文化園がそれぞれ認定を受けています(葛西の認定については
こちら、井の頭の認定については
こちらをご覧ください)。
認定を受けた施設は、繁殖のために希少種を移動させるための手続など、従来必要だった規制が原則として適用されなくなります。また、本制度によって次のような効果が期待されています(
環境省サイトより)。
・繁殖などに向けた他園館との円滑な個体移動などによる生息域外保全の連携体制構築
・多くの来園者に対する、希少野生動植物種に関する環境教育・普及啓発の促進
・動植物園等が持つ「種の保存」という公的機能の明確化・社会的な認知度の向上
申請にあたっては、施設で取り扱うすべての希少野生動植物種について申請し、国の認定を受けることになります。上野動物園の認定対象種は、「国内希少野生動植物種」が12種、「国際希少野生動植物種」が41種です。
上野動物園は1882年の開園以来、野生生物の保護や増殖に取り組んできました。2001年以降は小笠原諸島だけに生息する固有亜種アカガシラカラスバトの保護増殖、2008年以降には環境省や国内の他の動物園、研究機関とも連携したライチョウの飼育・繁殖技術確立の取り組みを進めるなど、外国産と日本固有種の希少種をともに保全してまいりました。今後も引き続き、希少な野生生物の保全や普及啓発に努めていきます。
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アカガシラカラスバト
| ライチョウ |
認定証を手にする飼育展示課長の冨田恭正
別表(上野動物園の認定対象種)国内希少野生動植物種(12種) | 国際希少野生動植物種(41種) |
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シジュウカラガン、コウノトリ、アカガシラカラスバト、オオワシ、クマタカ、ライチョウ、タンチョウ、オガサワラオオコウモリ、ミヤコカナヘビ、トウキョウサンショウウオ、イボイモリ、アナカタマイマイ | シセンレッサーパンダ、スマトラトラ、コツメカワウソ、ユーラシアカワウソ、ジャイアントパンダ、マレーグマ、エゾヒグマ、ニホンツキノワグマ、フサオネズミカンガルー、ヒガシクロサイ、コミミセンザンコウ、ワタボウシタマリン、アイアイ、ニシゴリラ、シロテテナガザル、ハイイロジェントルキツネザル、クロキツネザル、ワオキツネザル、クロシロエリマキキツネザル、スンダスローロリス、レッサースローロリス、アジアゾウ、コサンケイ、パラワンコクジャク、ホオアカトキ、キンミノバト、アンデスコンドル、オグロヅル、コキサカオウム、キエリボウシインコ、イリエワニ、ニシアフリカコガタワニ、マレーガビアル(ガビアルモドキ)、チュウゴクワニトカゲ、アンナンガメ、ホウシャガメ、ガラパゴスゾウガメ、インドホシガメ、ビルマホシガメ、オオサンショウウオ、アジアアロワナ |
環境省サイトより
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認定希少種保全動植物園等制度について
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「種の保存法」(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)の概要
(2022年08月30日)