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ニシゴリラ「モモコ」の子を人工哺育に切り替えました
 └─ 2022/06/03(06/09更新)
6月10日から、「モモコ」を群れから分けて治療していくこととしました。詳しくはこちらのページをご覧ください。


 上野動物園で5月31日に出産したモモコですが、子への授乳が確認できず、このまま母子をいっしょにしておくのは危険と判断し、6月2日に分離して人工哺育に切り替えました。現在モモコ、子、ともに落ち着いています(モモコの出産についてはこちらのページをご覧ください)。

 この判断に至った経緯をご報告します。

 モモコは4月中から下痢や削痩の症状が見られていました。6月ごろに出産予定だったことから、母子の健康状態を確認するため5月18日に麻酔下でCTスキャン、超音波、血液などの検査をしたところ、子は順調に育成しているもののモモコは重度の貧血であることがわかりました。人間の場合、妊娠中は生理的貧血が見られますが、今回の貧血は妊娠とは別の可能性があると考えています。一方でモモコは活力があり、採食も良好だったため、自然分娩が可能と判断し、投薬治療をおこないながら準備を進めてきました。
 5月31日の出産後もモモコは子をしっかりと抱いていましたが、6月2日の昼になっても授乳が見られず、子が衰弱してきたことから、モモコに麻酔をかけ、母子を分けることにしました。

 獣医師が子を抱き上げたとき、麻酔で眠っているモモコの乳首に子の口元を近づけると自力で吸い付き母乳を飲むことが確認できました。その後モモコから搾乳した母乳を哺乳瓶からも飲ませることもでき、子は元気そうでした。しかし、現在のモモコの状態では子を育てることができないと判断し、やむを得ず人工哺育に切り替えました。現在、子は保育器の中におり、安定しています。6月3日以降はなるべく群れとの接点を維持するよう気を配りながら、人工哺育をおこなっていく計画です。

 これまで4回の子育てをしているモモコが授乳しないのは、出産前からの健康状態に原因があると考えています。モモコの妊娠・出産にあたっては、以前から産婦人科医師の協力・助言をいただきながら慎重に進めていますが、引き続きの検査などで原因を探るとともに、まずは投薬による貧血の治療を継続する予定です。同時に、今後の健康状態を見極めながら、子をモモコに戻す時期の慎重な検討を進めてまいります。

 なお、母子を分けた際に測定した子の体重は1720gで、性別はメスであることがわかりました。


モモコの子のおむつを交換するようす
(撮影日:2022年6月3日)

(2022年06月03日)
(2022年06月09日:モモコを群れから分けることについて追記)



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