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両生爬虫類館 休館中のマイブーム──動物園サポーターのみなさま、ありがとうございました
 └─ 2022/03/01
 新型コロナウイルス感染症対策として、再々度の休園となってしまいました。休館がこれだけ続くと、通常の休園日だけでは完結できないような作業をまとめてやってしまえ!!という気分になります。そこで2021年の両生爬虫類館では「アクリル磨き」がマイブームとなりました。

 亜熱帯環境を再現している展示場では、展示をすべてアクリル水槽(塀)越しにご覧いただいていますが、このアクリルの維持管理はけっこう手間がかかります。日ごろからこまめに手をかけないとすぐカルキが付着して白濁したり、展示している動物の爪や頭突きで傷がついて透明度がそこなわれたりと、日々劣化していきます。

 アクリル磨き自体は人力でもできるのですが、問題となるのは作業中の動物の移動先確保と、研磨で舞い散った細かな粉塵の清掃です。動物が食べてしまったり、吸い込んだりしてしまわないよう、とにかく清掃・清掃・清掃、飼育エリアでは陸地の水洗やプールの水換えを徹底的におこなわなければならず、これらの作業に最低でも1週間程度かかるため、開園中にはなかなかできません。

 そこで、臨時休園期間を利用しての「ビバリウムぴかぴか計画」が発動しました。2021年2月から6月の休園期間中には、2月に陸生爬虫類のブース2面、5月に水陸利用爬虫類の水槽2面の研磨を実施しました。よそがきれいになると、大きな面積のニシアフリカコガタワニのアクリルの白濁、向こうが見えない……が悪目立ちするようになりました。アクリルの研磨は長年の懸案でありながら、作業期間中のワニの移動先の確保さえ容易ではなくなかなか実現できませんでしたが、繁殖計画のために上野から京都市動物園に1頭が移動したことで非公開の1部屋が空き、チャンスが到来しました。

 年度途中の発案のため、研磨のための予算を確保していませんでしたが、観覧環境を向上させより多くのみなさまにワニを身近に感じていただこうという趣旨から、サポーター資金を活用いたしました。おかげさまで、急展開で「ビバリウムぴかぴか計画」の最終段階が進展しました。20年分の傷と濁りはかなり根深く、新品同様とまではいかない部分もありますが、それでも見違えるほどきれいになりました。

 2022年1月30日に予定されていた、サポーターのみなさまを招待するサポーターズデイでは、暖房を効かせた温室で、ぴかぴかになった水槽のワニを細部までじっくり観察しながら、ほっこりしていただくことを計画していました。研磨後の美しい水槽へワニを戻す日程をできるだけ遅くしたり、水替えのタイミングを調整したりと、最高のコンディションでお迎えする予定だったのですが……中止になり、残念です。

 数年はクリアな状態が継続する予定です。感染状況が落ち着き、再開館した際には、ぜひビバリウムにお立ち寄りください。膝をついて水中にぷかぁ~と浮いているワニを覗いてみてください。もちろん、陸上のワニもすっきり・クリアによく見えます。

 最後に改めて、動物園サポーターのみなさま、ご協力ありがとうございました。


研磨前:中央にワニがいます……


研磨作業中:人海戦術・5人とりついてます


研磨後:とっぷり日がくれるまでかかりました


ワニを戻しました。まだ落ち着かないのか、ふだんあまりいないアクリル前面でぷかり。
お越しの際はしゃがんでのぞき込んでください

〔上野動物園は虫類館飼育展示係〕

(2022年03月01日)



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