まもなく50日齢を迎えるパンダの双子は、順調に生育しています。
近況のお知らせにあるように、これまでも「順調に生育している」とお伝えしてきましたが、日々の数値だけではなかなかイメージしにくいと思いますので、体重と体長について、シャンシャンも加えてグラフをつくりました。
3頭がおおむね同様の成長曲線を描いていることをご確認いただけるかと思います。

図1:2021年生まれの2頭と、2017年生まれのシャンシャンの増体重

図2:2021年生まれの2頭と、2017年生まれのシャンシャンの体長の変化
このような体重や体長といった量的な変化のほかにも、体つきや運動機能などの質的な変化にも着目する必要があります。誕生直後と比較した現在の状況については、保育室での管理を主に担当していた獣医師の記録を本稿末尾に記載しました。また、生理的な状況(心拍数・呼吸数・腹部体表温・経皮的動脈血酸素飽和度)についても問題はみられていません。
これらの結果を総合的にみて、発育は良好と考えています。また、中国の専門家からも「順調である」との見解を受けています。
上野動物園では初めての双子の誕生と飼育管理ですが、今のところは順調と言えます。しかしながら、まだまだ小さいことには変わりなく、油断はできません。24時間体制を継続し、中国側とも緊密に情報交換をしながら、注意深く飼育管理をしていきます。
双子の誕生直後と現在の比較──獣医師の記録
体の変化
全身ピンク色で目も耳も開いていない状態で生まれた双子は、現在、密な被毛が生えて白黒模様が明確になり、半開眼して音にも敏感になりました。長いまつ毛とすでに成獣のようにしっかりした肉球が目立ちます。
運動機能
四肢の動きに統一感がなくバラバラに動かしてビチビチ跳ねて動いていた生後直後と異なり、現在は尺取り虫のような動きで前進したり、時おり前肢に力を入れて上体をぐっと持ち上げるようなことができるようになりました。
反射・反応
生後直後からみられる全身の筋肉がピクピクと痙攣するような動きの頻度は減少傾向です。特に人の声や音に反応して鳴き返すことがあったり、触れられると大きくビクッと驚いたりするなど、触感にも敏感になってきたと感じます。
寝相・寝返り
生後直後は伏せで寝ていましたが、生後約2週間頃から仰向けで寝ることができるようになりました。特にオスが得意です。寝返りは最初より上手になりましたが、相変わらず自力でひっくり返ったものの自力で戻れないことの方が多く、「ンギャー」「ア"ーッ」「オギャーッ」と大音量で鳴き叫んで助けを求めることが多いようです。
哺乳頻度・哺乳量
保育器での人工保育では、成長するにつれ、一回あたりに哺乳する量が増えて哺乳頻度が減ってきています。一日の総哺乳量は増えて、多い日は300ml以上も飲んでいます。
排便・排尿
自力排泄はまだ明確でなく、人為的に刺激して排泄させています。人工乳100%でも比較的安定した便がみられています。
(2021年08月11日)
(2021年08月24日:図1を修正)