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オガサワラカワラヒワを知っていますか?
 └─ 2021/06/18
 公益財団法人東京動物園協会では小笠原諸島にのみ生息する生き物(固有種)の保全に取り組んでおり、上野動物園でも2001年からアカガシラカラスバト、2017年からアナカタマイマイを飼育し、繁殖にも成功しています(取組み事例についてはこちらをご覧ください)。

 オガサワラカワラヒワも小笠原諸島のみに生息する鳥で、体全体は緑がかった褐色をしており、薄いピンク色のくちばしが特徴です。本州に広く分布するカワラヒワよりもくちばしが大きく、以前はカワラヒワの亜種(※)とされていましたが、最新の研究からカワラヒワとは100万年以上前に別集団に分かれた独立種である可能性も指摘されています。

 オガサワラカワラヒワは、かつては小笠原諸島全域に生息していましたが、今は母島列島の一部と火山列島の南硫黄島でしか繁殖しておらず、繁殖個体数が約200羽まで減少していると推定され、絶滅の危機に瀕しています。 

 減少の原因としては近年の大規模な台風や干ばつなどの気象要因に加え、外来種の影響が大きいと考えられています。また、野生化したネコによる捕食や、ドブネズミによる巣への被害も報告されています。また、個体数の少なさによって近親交配が進んでしまうなど、さまざまなリスクにさらされています。

 もともと小笠原の島民には身近な鳥で、「クザイモン」という呼び名もあるオガサワラカワラヒワ。最近は「オガヒワ」の愛称で親しまれていますが、彼らを絶滅させないために島民、研究者、行政、動物園などが協力して動きはじめています。具体的にどのように保全していくべきか考え、計画をつくるワークショップが2020年12月に開催され、上野動物園や東京動物園協会からも職員が参加しました。

 このワークショップはPHVA(Population and Habitat Viability Assessment/個体群と生息地の存続可能性評価)という方法でおこないました。世界各地の絶滅危惧種のリカバリープランづくりで使用されており、日本ではツシマヤマネコ、ヤンバルクイナ、アカガシラカラスバトに続いて4事例目となりました。これにより、「生息域内保全」「生息域外保全」「共生社会づくり」のそれぞれの目的における役割と行動計画が明確になり、具体的なアクションプランが提案されました。

 ワークショップに参加した現地の有志を中心にオガサワラカワラヒワをより多くの人に知っていただくために「オガヒワの会」として活動を始めました。この会と公益財団法人山階鳥類研究所が共同でオガサワラカワラヒワの普及啓発を目的としたパンフレットを制作しましたので、ぜひご覧ください(パンフレットのダウンロードはこちらから)。

 より多くの方にオガサワラカワラヒワのことを知っていただくことが保全の第一歩です。上野動物園では「日本の鳥Ⅰ」で本州に生息するカワラヒワを飼育・展示していますので、ぜひご覧いただき、みなさまもいっしょにオガサワラカワラヒワの保全についても考えていただければと思います。

(※)亜種:地域による違いなどの理由で種をさらに分けた分類上のグループ


【参考】上野動物園で飼育しているカワラヒワ
(撮影日:2020年1月23日)

(2021年06月18日)



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