上野動物園で2020年7月29日、アジアゾウ「アティ」に抗酸菌感染(結核の疑い)が判明しました。現在、アティの体調は安定しています。
抗酸菌(結核菌をふくむ細菌群の総称)感染症は人獣共通感染症ですが、紫外線に弱い性質をもっています。現在、アティは屋外において公開中です。観覧スペースからガラスを経て十分な距離が保たれていますので、来園者への感染の恐れはないと考えられます。
アジアゾウ「アティ」(2020年4月24日撮影)
感染が判明したアジアゾウ
個体名 アティ
性別 オス
年齢 23歳 1996年12月14日タイ生まれ、2002年10月11日に上野動物園に来園
感染判明までの経緯
7月11日(土) 歩行がいちじるしく遅くなる。血液生化学検査を実施
7月19日(日) 前日夕方の餌をほぼすべて残す。11日の検査結果から慢性感染症疾患を疑う
7月20日(月) 食欲は徐々に回復。わずかに倦怠感のある状態を示す
7月27日(月) 糞便抗酸菌検査実施
7月28日(火) 糞便抗酸菌検査の陽性を確認
7月29日(水) ゾウ結核簡易診断キットを入手。陽性反応を確認
今後の対応
国内外の事例等を参考に対応を進めます。今後、アティを含め、飼育中のアジアゾウ4頭にさらに詳細な検査(PCR検査と細菌培養検査)を実施予定です。また、飼育担当職員には飼育作業時のマスク・手袋・ゴーグルの着用、塩素消毒などをさらに徹底し、感染拡大の防止を図ります。
なお、アジアゾウの展示は病状の変化等に応じて休止する場合があります。
上野動物園での飼育状況(2020年7月31日現在)
4頭(オス1頭、メス3頭)
・オス「アティ」 1996年12月14日生まれ(23歳)。2002年10月11日にタイから来園
・メス「ダヤー」 出生日不明(推定43歳)。1984年9月20日にインドから来園
・メス「スーリヤ」出生日不明(推定26歳)。2001年4月5日にインドから来園
・メス「ウタイ」 1998年2月7日生まれ(22歳)。2002年10月11日にタイから来園
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アティの屋外放飼場 (ゾウと来園者はプールとガラス壁で遮られている) | メスの屋外放飼場 (ゾウと来園者の間に一定の距離が確保されている) |
(2020年07月31日)