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アイアイ「ソア」の子育てと子「トゥニー」の成長
 └─2018/09/22

 上野動物園の西園にある「アイアイのすむ森」で2018年3月27日、アイアイの「ソア」(推定20歳)がメス1頭を出産しました。子は順調に育っています。現在非公開の母子のようすについてお伝えします。

 ソアは2001年、マダガスカルから日本に初めて導入されたメスです。今回の出産は、2012年に「ティーア」を出産して以来6年ぶりのことでした。ソアはこれまで数多くの出産を経験しており、残念ながら死亡してしまった事例も含めると、今回が10回目の出産です。

生後約2週間(2018年4月12日撮影)
生後約5か月

 ソアは未熟な状態の子(写真左)を口でくわえたまま巣箱から出て来て、室内を動き回ってから巣箱に戻す、という行動を頻繁におこないます。この行動は、上野動物園で初めて出産したときから確認されており、最初のうちは子どもを何度も床に落としてしまうこともありました。

 出産の経験を重ねるうちにあつかいが上手になり、今回は床に敷き詰めたウッドチップの上に最初の1、2回だけ落としてしまいましたが、その後は「勘」を取り戻したのか、無事に巣箱に戻すようになりました。

 ところが、ソア以外のメスにはこの行動はあまり見られません。2016年に出産した「フアーヴィ」(15歳)は、係員が体重測定のために巣箱から子どもを取り出した後など、よほど不安を感じたとき以外は巣の奥に子を置いておき、むしろ子の姿はなかなか見ることができません。

 しかし係員にとっては、母親が子どもを落としたりしないか、あるいは巣箱の中でちゃんと成長しているのか、どちらの場合でも心配がつきません。いずれの場合も、生後2か月もすると、おとなのミニチュアのような姿にまで成長し、自分で枝の上に出てきて活動し始めます。しかし、成長を実感してほっと息をつくのもつかの間、今度は子どもが自分で枝から落ちてしまわないか、新たな心配が増えることになります。

 現在、生まれた子は生後5か月を超え、果物や幼虫などを食べるようになりました(写真右)。子どもには、マダガスカル語で「穏やかな」の意味をもつ「トゥニー」という名をつけました。これからも、飼育の工夫を重ねるとともに、トラブルなく穏やかに成長してくれることを願うばかりです。

〔上野動物園西園飼育展示係 中村壮登〕

(2018年09月22日)


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